みなさま、お元気でしょうか。私は6月8日、ほぼ一ヶ月に渡るグリーンランドの取材から戻りました。

 北極点に近い極北の島グリーンランド。中でも地上、最北の町カナックを拠点に、犬ぞりに乗り、人口二十人に村を訪れたり、猟師と一角鯨やアザラシの狩りに同行したりしていました。中でも憧れだった犬ぞりに40時間も乗ることができ貴重な経験をすることができました。タクラマカン砂漠のラクダが「砂漠の舟」なら,犬ぞりは「氷原の舟」でしょうか。時速は10キロくらい、必死にソリを引く犬たちには気の毒でしたが、なかなか快適な旅でした。この旅はいずれ「北の島」として出版する予定です。この取材のあとは、学生時代、探検部員として訪れた南太平洋の環礁の島、カピガマラギ島を訪れ、「南の島」としてまとめるつもりです。どちらも地球温暖化の影響を一番に受けている地域ですが、そこに住む人々の生活を伝えることで、「いまの地球のありよう」に感じとってみたいと思っています。

 秋の写真展も動き出しました。10月6日(火)から12日(月・祝日)まで東京日本橋の三越デパートで「微笑みの降る星」(昨年、釧路で開催したものに新作を加えて)の開催が決まりました。また、品川のキヤノンSギャラリーで11月3日から写真家生活30周年記念の写真展(キヤノンコレクション展)が一ヶ月以上の会期で始まります。それらの写真展にあわせて、写真集「シルクロードの子どもたち」(毎日新聞社。木曜夕刊のeyeでも、グラビア企画として隔月で連載開始)と  30年の写真を新たに組み直した写真集を平凡社から発売予定です。 それらに写真展、写真集に向けて、忙しい日々が続きますが、写真展の会場で、みなさまとお会いするのを心より楽しみにしております。

                        2009年6月20日 長倉洋海


白夜の犬ぞり。前をいく犬たちが蹴り上げる雪がレンズについた


北極海に浮かぶ氷山。深夜二時


舟でのアザラシ猟に同行した私