みなさま、お元気でお過ごしでしょうか。私は6月17日、家の庭で木を切っていた時に、脚立が滑って倒れ、2mほど下のブロック板の地面に落下し、右手首と顔面を骨折してしまいました。それでも、夏のネネツ遊牧民取材が決まっていたため、ギブスが取れてまもない8月14日、彼らが移動しているヤマル半島に向かいました。冬の撮影に続いてトナカイ遊牧民の夏の生活を撮ることで、取材を完結させたいという思いがあったからです。モスクワからヤマル半島の拠点都市サレハルドから天然ガス会社の従業員用の列車に乗って15時間。車窓からの光景は、木もないツンドラが限りなく広がっていました。


列車から見た風景。雪が溶け、地面が見えるのはわずかに三ヶ月だけ。でも、たくさんの湖がありました。やっと着いた小さな駅。そこにネネツの家族が迎えにくれていましたネネツの親子と合流。腕にプロテクターをつけ、腕をぶつけないよう気をつけながらソリに乗ること3時間。夏の宿営地に着きました。



夏は2日毎にテントをたたみ、家財道具をソリに積んで移動します。ソリの時速は3キロくらいです。



一家で飼っているのは千から二千。常に群れを見張る必要があります。






夏でもトナカイを食べます。特にビタミンが豊富な血がご馳走です。一切の無駄なく使い切ります。



夏はクラウドベリー(オレンジ色)やブルーベリーを摘んで食べたり、ジャムを作ったりします。

視界を遮るものは一切なく、地平線がいっぱいに広がるツンドラ。そこで何者にも縛られず自由に生きるネネツの姿はとても美しく思えました。彼らの生活や姿を2021年には一冊の書物としてまとめる予定です。その時が近づきましたら、またお知らせいたしますので、楽しみにお待ちください。

更新が遅れてしまったこと、お許しください。腕を折った見返りに左手を使うのがとても上手になり、多少、右脳も発達したようです(笑)。
では、また、みなさんとお目にかかれる日を楽しみにしています。

                             長倉洋海