みなさん、お元気でお過ごしでしょうか。師走が押し迫ってきました。それにしても「あっ」という間の一年でしたが、振り返ってみれば、4月のアフリカ・マリ共和国の撮影、5月にはアフガニスタン山の学校を訪れ、劇場映画用の撮影をしました。8月は商店塾の夏期講座の間隙を縫って、17年ぶりにフィリピンを訪れることができました。
<高校生講座>
<釧路 くすり橋の川面>
9月からは、4年目を迎えた武蔵野美術大学での「ジャーナリズム」の授業が始まり、計13回の授業も終わってホッとしていた頃、カレンダー製作の話が舞い込み、大慌てで製作を進め、年内完成が間に合うことになりました。
<カレンダーの刷りだし>
そんな中で、現地駐在のJICAの方から「戦争を知る機会が少ない子たちに、『へスースとフランしシスコ―エルサルバドル内戦を生き抜いて』(福音館)を翻訳して教育教材として使いたい」と提案がありました。その許可を2人から取ってもらうために現地で会ってもらったのですが、その時の一家の元気な映像を送ってもらうことができました。写真から一家が元気に暮らしている様子が伝わってきて、とてもうれしい気持ちでした。へスースは長女のジャクリーンと近所で食堂を営み、繁盛していて、フランシスコは今も交通警官として勤務しているそうです。2人が教材への使用許可を快諾してくれたので、いずれエルサルバドルの子どもたちがへスースとフランシスコのことばかりでなく、市場で働いていたビルマやかけビリヤードで生活していたカルロスや物乞いのラモスのことを知ることになるでしょう。当時の子どもたちのことを思い出すと胸が詰まるような気持ちになりますが、彼らの生きた姿を知ってもらうのは、それなりに意味があるのではと思っています。
<へスースとフランシスコの一家>
11月25日には札幌で、12月8日には仙台で、山の学校の報告会をさせていただきました。12月16日には山形県白鷹町の「アユ〜ム」で1月15日まで開催中の写真展「ぼく世界で出会った子どもたち」のギャラリートーク&講演がありました。片道4時間。「トンネルを向けるとそこは雪国だった」そのものの雪景で、その美しさに息をのみました。
<白鷹の湯からの風景>
私はまもなく、釧路に帰り、母親と年末年始を迎えます。来年がどんな年になるのか、全くわかりませんが、2月には念願のシベリアのトナカイ遊牧民ネネツの撮影に行く予定です。6月頃、アリス館の『いのる』『はたらく』『まなぶ』に続く『つながる』の刊行を目指し、その準備を始めています。夏から秋にかけては釧路新聞で連載中の「長倉洋海が出会った人と風景」をエッセイと写真で一冊のほんにまとめる予定です。
私から年賀状代わりに、ミクロネシアのカピンガマランギ環礁で泳ぐ女の子の写真を載せました。島は20年後に沈むといわれていますが、島の人々は「いまを楽しく、美しく」生きようとしていました。私もそんな生き方ができればいいなあと思いつつ、年末年始のご挨拶とさせていただきます。
12月20日 長倉洋海
<小海美術館で関野吉晴氏と>
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