2016年がまもなく終わり、新しい2017年が訪れようとしています。みなさまにとって、2016年はどのような年だったでしょうか。私にとっては、文字通り、「あっ」という間の一年でした。4月の「アフガニスタン山の学校」訪問、5月オーストラリア取材、7月のサハ共和国のビエンナーレ参加、8月の商店塾夏期講座、9月にはペルー取材と慌ただしく動き回っているうちに終わってしまったというのが実感です。若い頃と比べ、時間が早く過ぎると感じていますが、そのハンディがある一方、当時は見えなかったものが多少でも見えてきているようにも思えます。


オーストラリア先住民が何千年も暮らした洞窟。絵が描かれた岩に光が差し込み 2016

 アマゾンを共に旅したアユトンが「我々の言葉で『生きる』ことは『呼吸』と同じです」と話してくれたことがありました。いままで訪れる先々で、大きく息を吸い込み、写真や文章という形で表に出してきました。旅をすること、写真を撮ることは、私にとって呼吸のようなものかもしれません。

 来るべき2017年も息をいっぱいに吸い込み、「新たな写真」という形で、皆さんにお見せできれることを願っています。

トナカイソそりの上から影を撮る シベリア・サハ 2015

 2017年3月25日から5月10日の連休明けまで東京都写真美術館で「長倉洋海の眼―地を這い未来に駆ける」が開催されます。いままでの代表作と近年のものを加えた200点の大型写真展です。年が変わると写真展プリントの伸ばし、そして、写真展にあわせて刊行する図録の印刷、「セレクション」(全五冊。900部限定の愛蔵版)の制作が大詰めを迎えます。38年にわたる集成展となる会場で、皆様とお目にかかるのを心より楽しみにしております。

標高3000mにマラスの塩田。温泉水で溶かされた岩塩を田に引き込む ペルー2016

 もう一つ、お知らせがあります。夏に開講される商店塾の会期と内容がほぼ決まりました(商店塾の項目をご覧下さい)。夏の平均気温19.5 ℃、日本一の涼しさを誇る釧路で、写真について、世界について語り合えたらうれしいと思っております。霧の町の風情とおいしい海産物があなたを待っています。ぜひ、私の故郷、釧路にもいらしてください。お待ちしております。

                     2016年12月20日 長倉洋海


リャマのいる光景ーペルー・クスコ 2016