皆様、お元気でお過ごしのことと思います。私は初めての試みである長倉商店塾(別 項で新しいコーナーを立ち上げましたので、そちらもご覧下さい)を無事に終え、長野県小海高原美術館での飾り付けとオープニングを済ませ、一昨日、東京に 戻りました。7月末からの講座の合間に、東川町の写真甲子園の審査、秋田県西馬音内と毛馬内の盆踊りの撮影など、ケージの中で車輪を回すリスさながらに、 キョロキョロ、あたふたと駆け回っていました。そして、昨日は武蔵野美大での「ジャーナリズム」講義の初日を終え、やっと肩の力を抜き、深く大きな深呼吸 ができるような気持ちになりました。もっと、ゆっくりと心を落ち着け、穏やかに物事を進めようと思うのですが、これはどうも性分のようで治らないものだと 最近になってやっと、そう思うようになりました。まあ、これからも、こんな風に生きて行くということでしょうか。
西馬音内
毛馬内
毛馬内
小海高原美術館は安藤忠雄設計で、とてもゆったりと建てられています。中庭や周辺の白樺はま もなく紅葉です。ひっそりとした森の中で、ここでなら何時間でも寝られそうだなあと思いました。写真は以前の大型パネル92枚に釧路から運び込んだシルク ロード20枚(60x90)を加え、112点で、ぴたりと会場に収まりました。とてもいい展示になったと前嶋館長も中嶋学芸員も喜んでくれました。初日は ギャラートークは70人ほどが集まってくれ、私とともに三つのスペースをまわりながら熱心に聞き入ってくれました。9月20日には関野吉晴さんとの対談、 10月12日には講演とギャラリートークがあります。また合間を縫って、小海中学と小海高校でも講演をすることになりました。小海は人口五千の過疎の町で すが、古い家や祭りや伝統が残り、「人々が支え合っている、とてもいい町」(中嶋学芸員談)のようです。次回はゆっくり集落を見て歩きたいと思っていま す。美術館の横には、源泉掛け流し温泉もあります。ぜひ、いらしてください。
昨日は武蔵野美大での一回目の授業。無事に済んだものの、二つ目の午後の授業では教室を間違えて遅刻するは、なかなか映像がうまく出て来ないなど不具合 続きでしたが、学生さんたちは怒ることもなく、じっと待ってくれていたことに深く感謝しました。生徒数はニクラスで180名。彼らが授業後に書いてくれた ミニレポートには、さまざな質問の他に、「時間が楽しみ」と書いてくれた生徒が多く、「次回以降も、このテンションと生真面目さと多少のユーモアを忘れず 頑張ろう」と思いました。まあ、倒れない程度に。何よりも先輩・関野吉晴さんを見習っておっとり、ゆったり、そして、真剣に、そして的確に。
しばらくは小海の温泉にでも浸かりながら、少しのんびりしたいなあと思いましたが、11月末からの神奈川アースプラザでの「その先の世界へ」展が決まったので、あまりゆったりもできないかもしれません。また、みなさまとお会いできる日を楽しみにしています。
マスードの14回目の命日の前日に、雨降る日野市で
2015年9月8日 長倉洋海