皆様、お元気でお過ごしでしょうか。

 8月はパプアニューギニアを訪れていました。帰国後、子供たちへのメッセージ写真集『お〜い、雲よ』の印刷立ち会い、釧路市美術館での写真展「地を駆ける」に向けたワークショップ、そして、「アフガニスタン 山の学校支援の会」の総会・報告会などが続き、更新が遅れてしまいました。

 パプアニューギアのマウント・ハーゲン州では年に一度のシンシン・ショーを撮影しました。シンシンの意味はSing Song。もともとは観光用にアレンジされたものですが、対立が多かった各民族間の協調性を作り上げる祭典にもなっているようです。今年は60の民族、約2,000人が集まり、800を超える民族と言語が存在するといわれるパプアニューギニアらしい多様性が体感できました。

 祭りの前後に、西山岳州の村々を巡ることもできました。大学生時代に本多勝一著『極限の民族』を読んで以来、いつか「ニューギニア高地人」に触れてみたいと思ってきました。当時のようなその風習や生活はほとんどが姿を消していましたが、それでも豊かな植生、情の深い人々に触れ、「この島は楽園だ」と実感しました。
もちろん、金や銅の鉱区確保のための急激な開発、銃器の流入、環境異変などさまざまな問題も存在しています。地球にポツンと「一つだけの楽園」など存在しないということもまざまざと感じました。でも、祭りに集い、鳥のように鮮やかに身を飾り、大地の花のな彩りで、歌い踊る人々の姿は、私に強烈な印象を与えてくれました。

 私はまもなく釧路市美術館「地を駆ける」の飾り付けに向かいます。9月21日は二回目のワークショップ(一回目のワークショップ参加者の作品とともに会場に展示される)、関野吉晴さんとの記念対談、「地を駆ける」講演などが続きます。10月18、19、20日には三夜にわたり連続スライド・トークも開催されます。秋の味覚と釧路の叙情も楽しめると思いますので、ぜひ、いらしてください。北の釧路の街でお会いできればと、楽しみにしています。

                      2013年9月16日 長倉洋海







次の2枚は釧路での写真展(9/21-10/20)の様子です。
会場は三階、総数181点。5ブロックに分かれています。