皆様、お元気でおすごしでしょうか。
私は4月18日、アフガニスタン「山の学校」の公式訪問から戻りました。学校訪問を終え、首都カブールに向かっている最中、首都の中心街でタリバーンの各国大使館を狙った攻撃が始まったことを知りました。帰国を翌日に控えながらも、「予定通り帰れないかも知れないな」と心を決めましたが、翌朝にはほぼ鎮圧され、なんとかニューデリー行きの飛行機に乗り込むことができました。

 インドの新聞には「真っ正面から戦う力がないからこそ、タリバーンはこのような攻撃をした」との分析記事が載っていました。確かに全国攻勢と謳いながら、三都市だけで、彼らの考える「春期攻勢」の大きな効果があったとは思えません。

 一刻も早く平和が来てほしいと多くの人が願っています。「アフガニスタンの不安定な状況」が伝えられますが、人々が平和を熱望する気持ちはあまり報道には出てきません。

 パンシールにはアンズや桃、アーモンドの花が咲き、街道沿いの農地には野生のチューリップの赤い花が咲き乱れていました。子どもたちは学校に通い、通りでは乗り合いバスを待つ人々、市場にはさまざまな野菜や食べ物が並んでいました。一見、平和に見えるこの光景こそを大切にしなければと強く思いました。それは多くのアフガニスタンの人々の気持ちもそうだと思います。

 山の学校のまわりにはまだ雪渓が残っていましたが、この春、20人の新入生がありました(うち四人は五歳以下のオブザーバー)。下の町の高校に通い出した卒業生たちは山道を往復四時間近くかけて通っていました。山の斜面の農地では家族総出で畑仕事に精出す一家がいました。

 山の学校の子どもたちの表情や生活の様子は、次号の会報「翼」で報告いたします。10月8日には武蔵野芸能劇場で総会・報告会、同13日には大阪・高槻市で報告会も予定されておりますので、是非の参加をお待ちしております。

 私は5月から6月にかけては各地での写真展や講演会が予定されています。その会場に皆様にお会いできるのを楽しみにしております。 

                             2012年4月25日
長倉洋海