みなさま、いかがお過ごしでしょうか。ミクロネシア・カピンガマランギ島からの帰国直後にホームページの更新をしたしましたが、そのあと、しばらくの間、更新をすることがなかったことをお許しください。3月11日の東日本大震災とその後の福島原発の事故…。悪夢のような惨状に言葉を失い、三ヶ月近くの間、文章にすることができずにいました。文章にするためには目の前のものごとを自分なりに咀嚼することが必要だと思いますが、あまりに途方も無い出来事だったため、いまもそれができずにいます。

 ただ、自分なりにこの問題とどう向き合うのか、どう関わっていけるのか、考え続けています。時間はかかるかも知れませんが、その問いの答えはいつかみなさまに、写真という形でお届けできると思っています。  ただ、どんな中にあっても、「自分がすべきことをきちんとやる」という思いは変わりません。それは、取材・撮影してきた「北の島―グリーンランド」「南の島―カピンガマランギ」を写真集にまとめ、写真展で多くの方に見てもらうということです。「北の島」「南の島」の二冊の写真集はいよいよ来週、5月31日から印刷が始まります。7月1日からの新宿コニカミノルタプラザでの写真展会場には、その写真集が並んでいるはずです(発売は7月7日の予定です)。

 そのコニカミノルタプラザの会場には連日、詰める予定です。また、会期中には土日四回、平日二回のスライド・トークが予定されていますので、ぜひ、会場まで足をお運びください。そこでお会いできるのを楽しみにしています。また、6月11日から7月10日までは、福井市美術館で「微笑みの降る星―ぼくが出会った子どもたち」が開催されます。いままでの340点の写真に、「北の島、南の島」で出会った子どもたちの大パネルも12枚ほど追加されます。いままでの紛争地の子どもたち、アマゾン、シルクロードの子どもたちに加えて、極北、赤道直下と世界中の子どもたちの笑顔や表情が一堂に会します。「いまの地球」「いまの時代」を感じられる写真展になればと願っています。一昨年の東京・三越デパートでの写真展を見ることができなかった方、福井に近い石川、岐阜、京都、滋賀、大阪、兵庫県に在住の方々に見ていただければうれしく思います。こちらでもワークショップやギャラリートークと企画が盛りだくさんです。

 「自分の場所でしっかり生きていく」―。それは震災・原発事故の前も、あとも変わりません。これからも、自分が写真でできることは何なのかを問い続けながら、前に向かって進んでいきたいと思います。新しい空間、新たな地平を求めて。

                           2011年5月26日 

                                長倉洋海