昨年、「シルクロードの子どもたち」を出版していただいた毎日新聞の木村さんから「久しく近況報告がアップされていないので、どうしていますか」という声が届きました。
そういわれてホームページを見てみると昨年末の三越展、キヤノンコレクション展のところが最新で、もう七ヶ月も更新がなかったのだ気づきました。本当にアッとう間に七ヶ月がたっていたことに驚きました。
今年に入ってからは、一月に青梅市美術館での「微笑みの星」展の開催があり、二月には札幌キヤノンギャラリー・オープニング記念展として「人間の貌ーシルクロード」が開催されました。
四月には、アフガニスタン山の学校へ公式訪問。一年ぶりに再会した子どもたちはどの子も元気で、アフガニスタンの治安悪化が言われているだけに、安堵いたしました。山の学校には近隣の十一の村落から子どもたちが通ってきますが、村々では新しいモスクが建てられたり、新築の家も建設中でしたい。三年前から植え続けている杏やリンゴの木も美しい花をつけ、実ももう少しで収穫できるところまできました。川の流れを利用した水力発電で、村の家には電気も灯るようになりました。首都カブールでも、建築ラッシュでした。通りにはおしゃれをした女性が大勢、歩いていますし、電気屋で働く若者からは香水の香りがしてきました。書店には、買いたい本を探したり、新刊書を立ち読みする姿もありました。少しずつでも、確実に復興していると感じました。
写真を二枚お見せします。 一枚目は「村のモスクの修復をする父と、作業を見守るルビナ(二年生)」、二枚目は「家畜の世話をするマジャミン(五年生)と妹」です。
アフガン帰国後は、三月から書き始めた新書の原稿の執筆を再開しました。1992年に「フォトジャーナリストの眼」(岩波新書)を出版しましたが、それから18年。フリー前夜の大学探検部時代や通信社カメラマンの頃から始まり、マスードとのカブール入城やヘスースの結婚、八年ぶりの再入国がかなった南アフリカ、アマゾン、コソボ、シルクロードなどを書き加え、「私の30年」をまとめた一冊として年末には平凡社より新書として発売される予定です。
六月からは探検部時代に訪れたミクロネシア連邦のカピガマラギ島を38年ぶりに再訪する予定でしたが、船の就航が九月まで中断されるとのことで、出発は秋に延期いたしました。
昨年のグリーランド訪問とあわせて、来春には「北の島」「南の島」という写真集二部作を製作予定です。2011年5月〜6月に、その写真展の開催も考えています。
昨年は写真展や写真集の出版が続き、スケジュールも過重だったため、今年は少し、ゆっくりと仕事を再開する心づもりです。しばらくは新書の原稿を書き進めながら、これからの取材のことやさらなる構想に思いを巡らしたいと思います。
また、皆様と、どこかでお目にかかれる日を心待ちにしております。
2010年6月4日 長倉洋海