「緊急メッセージ16」
今もアフガニスタン各地で、女性たちが教育と自由、働く権利を求めて路上で抗議を続けています。ロガールやバーミヤンでは、男たちが「家族を守るため」と銃を手に立ち上がりました。アンダローブでも抵抗運動が拡大しています。
それでもタリバンの抑圧と蛮行は止む気配がありません。上層部や幹部がどんなに聞こえのよいことを言っても、末端の構成員は思ったようにやっています。
女子の教育を認めるという一方で、山の学校の卒業生たちが通うパンシール大学を爆破しました。他にも、遺体を木を使って吊り首にしたり、ハザラ人とわかると射殺したり、見せしめのための石投げ刑や路上での公開鞭打ちもしています。
彼らが行なっていることを見る限り、タリバンは狂信者、あるいはならず者の武装集団と言っても過言ではないと思います。
今日届いた卒業生ゴラムからのメールでは、家から彼のノートパソコンや本が盗まれ、家の動物は殺されてしまったと嘆きのメールが届きました。
(↓教育を、と叫ぶ少女たち)
←クリックで動画
↓暴行を受けた女性の写真
↓元教育省の前で抗議する女性たち
彼らはどうしてこんな残酷な仕打ちができるのでしょうか。
「地に根ざした思想」と、タリバンを擁護する識者がいますが、それは全くおかしい論理だと思います。自分たちだけの場所ならどんな思想で生きようと勝手ですが、それを力で他の人に強制し、他の人間の存在すら抹殺することは許されることではありません。それはどんな宗教であれ、言えることだと思います。彼らは異教徒ばかりか、同じイスラム教徒でも価値観が一緒でないと敵意を向けます。もし、あなたがそうされる立場でも、「地に根ざした思想だから許してもいい」と言うのでしょうか。
人の身になって考えられない人間が政治に関わってはいけない。ましてや、国を動かすことなどあってはならないと思います。人は、『人間として、してはいけないこと』を家族や共同体、そして人々から学びますが、タリバンにはそうした「学び」がすっぽりと抜け落ちているようです。
人間としての良識や道徳という人間原理を持っていないから、外の世界に憎しみを向けるのです。
一昨日、市場で我が子を売りに出す男性のツイッター映像を見て、これを放置するタリバンの統治とは何だろうかと思いました。
(↓子を売る動画紹介 クリックで動画)
2001年に読売新聞で紹介された、パシュトゥーン人の長老の言葉を思い出します(その時の記事を参照)。
「むやみに人を傷つけるのはいけないことで、本来のイスラムではない」。
世界中のイスラム教徒がタリバンが行なっていることを嘆き、悲しんでいると思います。
どんな地でも、どんな世界でも、
人は人と生きていくのですから。
2021年9月24日 長倉洋海
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