アフガン情勢に関する緊急メッセージ
2021年9月21日


「緊急メッセージ15」

 この二日間にも、たくさんの悲しく辛いニュースが入っています。奨学金を支援しているゴラムから、以下のメールが届きました。

「こんにちは!
僕たちのことを心配してくれてありがとうございます。
皆さんはアフガニスタン、特にパンジシール州のことを知っており、アフマド・シャー・マスードの仲間たちと本当の友達になりました。
タリバンはアフマド・シャー・マスードと仲間たちの強敵であり、以前は勝てなかったのでパンジシールに復讐をしたいと思っており、今回、パンジシールを攻撃して多くの人々を殺しました。軍人や民間人を容赦なく殺しました。彼らは人々の就寝中に襲いました。非常に恥ずべきことです。Facebookから取ったいくつかの写真を送ります。
僕はいつかアフガニスタンを独立させたいと思っていますが、現在、僕たちは不安な状態です。
でもアフマド・マスードが敵を打ち負かし、この国を守ってくれると希望を持っています。
彼らは山にいて、タリバンと隠れて戦おうとしています。
僕は彼らがこの戦いに勝つと信じています。
タリバンは、学校やモスク、政府で働いていた人たちの家を奪ったので、多くの人々がカブールで避難民となり、彼らに支援が必要です。僕は家族と一緒にカブールに住んでいます。僕たちは親愛なる友人である皆さんに期待しています。近い将来、僕たちを助けてください」。
ゴラムたちをすぐに助けることができない自分の非力さを感じるばかりです。

 タリバンは残虐さだけでなく、大いなる矛盾と無知を晒しています。タリバン内閣の高等教育大臣のアブドゥル・パキ・ハッカーニ(強硬派の1人)は、男子学生に中高校に戻るように言いながら、女子については言及していないのです。女医には職場に戻るようにと言いながら、中学・高校への進学を認めないのですから、これから女性の医療関係者が育つはずがありません。

<タリバン統治下の学校教育の現実>
- タリバン、男子生徒に復学命令 女子生徒には言及なし (Yahoo - cnn)
- アフガニスタン 女性の権利に暗雲 学校教育から職場まで (Yahoo - TBS News)

 さらにショックだったのは、タリバンがパンシール大学を燃やしたことです。彼らは教育をなんと思っているのでしょう。私はこれ以上の言葉がありません。
抵抗戦線による「女子の教育を認めないことへの抗議文」はタリバンを強く非難しています。
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燃え上がるパンシール大学。山の学校の卒業生の何人かはこの大学へ通っていた。

 カブールとパンシールでは、ハザラ人やタジク人への虐殺や、いわれのない処罰が続いています。街中での公開処罰にも目を覆いたくなります。ツイッターには「家族を1人の子をのぞいて殺された女性が、その子が心配で、学校が終わるまで表で待ち続けている」写真もありました。

 カブールとパンシールでは、ハザラ人やタジク人への虐殺や、いわれのない処罰が続いています。街中での公開処罰にも目を覆いたくなります。ツイッターには「家族を1人の子をのぞいて殺された女性が、その子が心配で、学校が終わるまで表で待ち続けている」写真もありました。

連行されるパンシール出身のタジク人の少年。

 仕事を失ない、外出や就学の機会も失なった女性たちは声を上げ続け、カブールの南のロガール州では、「もうこれ以上の圧政には我慢できない」と人々が武装して立ち上がりました。
 フランスに逃れた円舞ダンサーについての動画もBBCから投稿されていました。自分の生まれ育った国を逃れるのがどんなに悲しいことか。でも、タリバンの統治下で存在そのものを圧殺されることは、それ以上に辛いことなのかもしれません。


 「タリバン政権では、アフガン女性に物乞いだけは許されるが、彼女たちの仕事や商売は許されない」という投稿。

 自由だった祖国、自分を表現できたアフガニスタン、平和に暮らすことができた故郷・・・。人々はそこに帰りたいと、心から願っているに違いありません。

      2021年9月21日  長倉洋海

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