アフガン情勢に関するメッセージ
2023年4月5日


「今日のメッセージ 2023/4/5」

 タリバンの暴力と蛮行が収まる気配がない。こうしたことがいつまで続くのか、人々はいつまでそれに耐えなければならないのだろうか。
 カブールの街中を歩いていた若者がタリバンに呼び止められた。兵士は服装とヘッドホンが気に入らないようで、殴り、蹴りを入れた。その様子がアフガニスタン国際ニュースで報じられている。

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Panjshir Provinceは、タリバンが殴ることを楽しんでいるような映像を投稿し、「特定の民族の民間人を侮辱、拷問、叩き、盗み、殺すことはタリバンのイデオロギーの一部。他の民族はアフガニスタンから去るべきだと信じている」と痛烈に批判している。(ツイートを表示

 タリバンの思考そのものが明らかになった映像もある。登場するムッラーはタリバンに大きな影響力があるとされる1人だとジャーナリストのサジャッド・ヌーリスタニが述べているが、そのムッラーはモスクでの説教で「非イスラムの女性は動物のようなもの。戦争中に捕らえれば、性的な奴隷にすることができる。イスラムの聖戦士はそうして奴隷を何百人も持つことができます。21世紀のイスラムはそれを認めています」と話したという。(ツイートを表示

女性活動家のG.Yaftaliが「バダフシャン州知事の兄弟が看護師の少女に睡眠薬を使ってレイプを行い、被害者の女性が自殺を図った」と投稿している。(ツイートを表示

 彼らのいうイスラムとは何なのか。ハザラ人やタジク人をまるで異教徒のように扱い、自分たちだけが神に祝福されていると考える教条的な思想だ。本来、同じイスラム教徒に聖戦はあり得ないのだが、彼らはそれを行い、その戦いで勝利すれば、タジクやハザラの女性たちを戦利品にしてもいいと思っているようだ。自分たちこそ正しいイスラム教徒であり、それを世界に広めるために暴力やテロを使うのだと自分たちを正当化している。

 驚くようなコメントもあった。タリバンの情報文化省の出版局長が「少年たちがお金を盗んだり、誘拐したり、暴力行為を行ったりするのはイスラムの原則を守らない女性たちのせいだ」とテレビインタビューで話しているのだ。それが女性活動家のツイッターにアップされていた。彼は「イスラムの信仰心のない女性たちが少年たちをそそのかしているのだ」とも語っている。そうした犯罪行為を行っているのはタリバン自身のはずだが、その矛盾には気づいていないようだ。

 「人権」や「人間への敬意」が欠けているタリバン。通常の教育は憎しみの対象で、彼らの偏狭なイスラムのみを教えるマドラサ(イスラム学校)だけが「信頼すべき学校」のようだ。
 AmuTVは、パンシール州のヘンジとダシシュレワテで700人が通っていた男子校がタリバンによって破壊されたと伝えている。 (ツイートを表示
 アフガニスタン国際ニュースは、ファリャブ州で女子校が放火されたことを伝えている。それに関連して、ジャーナリストNatiq Malikzadaは「誰が学校に敵意を持っているか私たちは知っている」とツイートしている。

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 タリバンの暴挙の数々が白昼堂々と公衆の面前で行われるアフガニスタン。そのタリバンが招待もされていないのに、ご馳走を食べるために結婚式に乗り込んだ姿がツイッターに投稿されている。テーブルの上に自動小銃を置かれては人々は従うしかない。花婿と花嫁の戸惑う姿が目に浮かぶようだ。

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 そんなタリバンだが、政権幹部のアブドル・カビールが国連のアフガニスタン問題担当特別代表に「タリバンは選挙制度を信じており、専門知識に基づいて選挙を行いたい。国際社会とも交流したいが、その前に制限を解除すべきだ」とも語ったことをAmu TVが伝えていて驚いた。
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今までマスードや国民抵抗戦線のアフマッドたちの選挙の提案に応じなかったタリバン。国内の不人気は誰もが知っているはずだ。それを象徴するような出来事がイランであった。イラン政府に認められ、新たな大使館を開設したタリバン。早速、新任の大使が金曜礼拝の説教をしようと意気揚々とモスクを訪れたが、アフガン難民の民衆に囲まれ、「タリバンに死を」「首長国に死を」と罵声を浴びせられ、退散する羽目に陥り退去せざるを得なかったとジャーナリストのNatiq Malikzadaが投稿している。
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権力を握った事で王侯貴族になったような気分なのか、豪華な椅子に体を沈め説教を行うムッラーの姿からも、彼らの底の浅さが見える。


そんなタリバンを支えているのは米軍が残した700億ドルと言われる兵器と軍事車両、そして、毎週、タリバンの元に「人道支援」として届けられる数十億円の現金だ。

<米国が残した軍事車両> (ツイートを表示

 米国はタリバンへの協力姿勢を改め、アフガン国民の願いに耳を傾けるべきだと私は思う。が、同時に、米国と軍事提携を進め、共同歩調をとる日本にもできることが必ずあるはずだとも思っている。


     2023年4月5日  長倉洋海


☆アフガニスタンの隣国イランでは「新年の祝い」があちこちで盛大に行われた。イラン政府の人々への弾圧はアフガニスタンのタリバン同様に苛烈だが、電車の中で、バスの中で人々は新年(ナウ・ルーズ)を祝って踊った。その朗らかな姿に、アフガニスタンでも人々が新年を心から祝い踊れる日が来ることを願った。
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