アフガン情勢に関するメッセージ
2022年11月13日


「今日のメッセージ 2022/11/13」

 タリバンが、またもや信じられない布告を出した。「女性は公園に立ち入ってはいけない」というのだ。同時にハマム(公衆浴場)や体育館へも入ってはいけないという。



(BBCニュースを表示)

BBCは「今までは曜日で男女を分けていたが、全面的に立ち入り禁止にした」と報じている。タリバン統治下では、女性は自由ばかりか人権も求められない存在なのだ。女性たちの憤りと悲嘆は如何許りか。

タジク人やハザラ人への迫害も途切れることなく続いている。元BBCレポーターで政治家のダウド・ナジは、中央アフガニスタンのゴールなどで17の集落のハザラ住民が追い出されたと伝えている。

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この投稿の中でダウドは、「このようなことを行う政権に、米国と西側諸国が毎週4000万ドルを渡していることは歴史に記録されるだろう」と痛烈に批判している。また、「午前8時ニュース」もアフガニスタン銀行に4000万ドルが届いた、と伝えている。(ツイートを表示

それについて、タリバンが支配する中央銀行は「人道支援の一環だ」と述べている。
アフガニスタン国際ニュースのツイート)。

しかし、「米国の週刊誌ワシントン・エグザミナーは、米国務省はタリバンの支配下にあるアフガニスタンへの10億ドルの財政援助の査察を許可していない、と報じた」とアフガン自由ラジオが伝えている。
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「4000万ドルを40回に渡り、計5億6000万ドルを民間銀行を経由して中央銀行に通し、それがタリバンに渡っている」という情報もある。日本円で784億円という多大なドルがタリバンに渡り、タリバンを支えているということなのだろうか。前述のワシントン・エグザミナーの報道では、10億ドルの財政援助と伝えられている。米国は、口では民主主義や人権を唱えながら、その陰で市民を弾圧するタリバンを助けていることに、開いた口が塞がらない。米国の戦略や国策の前には、アフガン人の窮状や平和への願いなど取るに足りない存在なのだろうか。
自分たちの都合で勝手に撤退していった米国。撤退時に9000億ドル相当の武器をそっくりそのままタリバンに残してきた。それが弾圧にも使われていると思うと、ゾッとする。

〈テロで犠牲となったハザラの少女たちの祭壇に、バラとロウソクが捧げられていた。ツイッターより〉


 テロが止まないのは、アフガニスタンばかりでなく、タリバンを支えてきたパキスタンも同じだ。パキスタン・ワジリスタン(=パキスタン北西部の連邦直轄部族地域にある地域)のパシュトーン人たちが、テロとタリバン化に反対し、パシュトーン人の中心地ワナに向かって平和行進を始めたという映像がツイッターに投稿された。しかし、「パキスタンメディアはそれを伝えていない」という投稿もあった。

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 テロが力を増せば、それに抗する「平和」を求める人々の声も高まるはずだ。簡単に絶望したり悲観するのではなく、そうした人々の思いを感じ、それに呼応できる心と精神を持ちたい。人は、戦いよりも平和を、憎み合うことよりも共に生きることを願っていると信じながら。

    2022年11月13日  長倉洋海






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