アフガン情勢に関するメッセージ
2022年10月3日


「今日のメッセージ 2022/10/3」

 アフガニスタンの隣国イランで、「ヒジャブ(スカーフ) の付け方が悪い」と警察署に連行され、その後死亡したマーシャ・アミニ(クルド人女性)。そのことに対する抗議デモがイラン全土で起きている。シラーズ大学医学部学生たちがキャンパスで開いた抗議集会の様子が、ツイッターに投稿されていた。
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世界各国でも抗議デモが起き、アフガニスタンでは、イラン大使館の前で女性たちが抗議した。表に自由に出られないためか、家のテラスで一人、追悼と連帯のダンスを踊る女性の映像もあった。

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 各地で抗議デモが行われている最中の9月30日、アフガニスタンの首都カブールの教育センターで、研修を受けていたハザラ人が自爆テロで死亡し、その数倍の人々が負傷して病院に担ぎ込まれたという衝撃的なニュースが飛び込んできた。死亡者は100名を超えたという報道もある。
現場の状況を伝える2枚の写真がツイッターに投稿されている。


上部は爆破前の写真で、下部が爆破後の写真だという。


爆発前まで書いていたノートに血痕が残り、そのあまりの生々しさに言葉を失った。
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 自らの夢に向かって声を揃えて学習していた若い女性たち。その未来はテロリストによって一瞬にして砕け散った。投稿された「少女たちの無念を描いたイラスト」に、私は人々が受けた悲しみの大きさを感じた。


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 こんなことが許されるのか。どんな人間が、こんなに残虐でおぞましい事件を引き起こすのだろうか。この惨劇に世界がどう向き合おうとするのか、私はそれを注視したい。犯人は既に死亡しているのだからどうしようもない、と言うのか、それとも、自爆テロを取り締まるどころか「自爆テロ部隊」を作りテロを礼賛するタリバンに断固たる処置を取るのか。そこに、民主主義を唱える西側社会の本当の姿があらわれるはずだ。

 「事件直後、負傷者が運ばれた病院に、献血をしようと多くの女性が駆けつけたが、タリバン当局はそれを許可しなかった」と、Amu TVがツイッターで投稿している。


これが真実なら、タリバンの当局者は人として大切なものを持ち合わせていないことを示していると思う。こうした対応には、私たちばかりでなく、世界のイスラム教徒も同じように怒りを覚えるだろう。今に始まったことではない。アフガニスタンの大地には多くの人の悲しみの涙ばかりか、無辜の人々の多くの血が流され続けている。

 「アフガニスタンの子どもたちのために」という歌がツイッターに上がっていた。その歌詞はタリバン統治下に置かれた人々の悲しいまでの思いを代弁しているかのようだ。(ツイートを表示



※この歌詞の簡単な和訳をしました。

「通りで踊る
通りで恋人にキスするのを恐れる
私の妹、あなたの妹、私たちの姉妹
腐った考えを変える
普通の生活を夢みる
路上のホームレスの子と彼の夢
堕落し腐った経済
汚染のために死んでいく木々
絶滅に瀕したチーター
殺された罪もない犬

現状を思って流す涙
SNSのプロフィール写真の笑顔
学生の未来
投獄された才能
強制された「天国」
アフガン人の子どもたち
学校で強制される憎悪のスローガン
汚職のせいで粗末に建てられた校舎で死んだ人たち
平穏な暮らし
いくつもの暗黒の夜の先の光
限りない鬱と不眠
人、祖国、発展
あまりの抑圧に男子になりたいと願う女子
女性、人生、自由・・・
その自由のために」


 人々は抗議の声を上げるのをやめない。タリバンは人々の声を暴力とテロで押しつぶそうとする。しかし、人々は歌で、スマホで、壁に連ねた文字で、声を上げ続ける。タリバンが力で口を閉じさせ、腕を縛りあげ、外に出ることを許さなくても、人々の思いはその瞳の奥で燃え盛る。それを誰も止めることなどできない。

★“This is Kabul; Taliban vs A woman.”という言葉と共に投稿された写真。

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2022年10月3日   長倉洋海




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