アフガン情勢に関するメッセージ
2022年9月26日


「今日のメッセージ 2022/9/26」

 ロシアでは予備役の部分招集でプーチン政権の足元が大きく揺らぎ、イランでは女性のヘジャブ着用を巡り女性を追いやり、両国ともに各地で抗議デモが頻発している。しかし、アフガニスタンでは、タリバンが国際社会からの要請や国内の人々の窮状を無視して国を支配しようとしている。 
各国からアフガニスタンに派遣された外交使節団は「選挙で選ばれた政府が樹立されるべきだ。今のままでは紛争が増加する」と声明を出した。(ツイートを表示)

 ウズベキスタンのイスラム委員会は、祖国を守ること以外の軍事活動に参加することを否定するファトウ(法的な布告)を発行した。それはタリバンの国民弾圧のための武力行使や、現在北部から周辺国にイスラム過激派を送り込み、地域の不安定化を謀ろうとする行為への警鐘でもある。

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 そうした批判や警告にもかかわらず、タリバンはタジク人やハザラ人への武力弾圧をやめようとしていない。「パシュトゥーン人がこの国の主人で、他の民族は追い出す」と公言する人が今もいる。ツイッターで見つけた映像で、在ロンドンの1人のパシュトゥーン人の、狂気に取り憑かれたような話ぶりとその内容に怖気が差した。(ツイートを表示

このような常軌を逸した思考にパシュトゥーン人からも非難の声が上がっている。1人のパシュトゥーン女性がツイッターで声をあげている。(ツイートを表示


〈タリバンの弾圧で山に逃れたハザラの子どもたち。ツイッターより〉

 アフガニスタンにはパシュトゥーン人(推定40%)だけでなく、ハザラやタジク、ウズベキ人、トルクメンなどの民族がいる。この国が多民族国家なのは明らかなのに、他の民族を排除しようとするタリバン。その姿勢が根本的な問題である。
 昨日のニュースに、シーク教徒55人がインドに脱出したというものがあった。

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私がアフガニスタンを最初に訪れた1975年、カブールで独特なターバンを頭に巻いたシーク教徒を見て、この国の多様性を実感したものだった。だのに、タリバンは自分たち以外の民族の存在を一切許さないというのだろうか。
本来、イスラム教は多様な民族や文化を認める寛容な宗教だ。1299年に誕生し、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸に広がる世界国家を築き600年以上続いたオスマン帝国は、イスラムの平等をモットーに人種に捉われず、宰相にギリシャ人、アラブ人、セルビア人など登用。長期の平安と繁栄を謳歌した。その歴史をタリバンは知らないのか、学ぼうとしていないのか。

 タリバン支配の閉塞状況に、「カブールの女性たちがアートを通じて自由へ闘いを訴える展示があった」とamuTVが伝えた。

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 隣国イランでは女性の死に抗議するデモが全国に広がり、政権はその抗議に対し弾圧で応じているが、イラン女性がイタリアファシズムと戦い自由の象徴となった歌『美しい別れ』をペルシャ語で歌って国民を鼓舞している。抑圧に対抗するのはデモばかりではない。絵画や歌でも抵抗できるのだと、彼女たちは教えてくれる。(ツイートを表示

 アートではないが、こんな一枚の写真が私の心を動かす。それは父親が乳母車代わりの一輪車に寝かせた2人の子に風船を膨らませる光景だ。銃では子供をあやすことも、食べ物を与えることもできない。そんな当たり前のことをこの写真は教えてくれる。人々が求める「安寧」こそ、上に立つ者は人々に真っ先に与えるべきなのだ。

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 ウクライナ侵攻で墓穴を掘ったプーチン。強圧政策で国民の離反を招いているイラン。独裁的な政権ゆえに驕りが生まれ、それが自らの足元を崩すことは、歴史の中で枚挙にいとまがない。そして、同じことが、いずれアフガニスタンでも起きるに違いない。



       2022年9月26日   長倉洋海




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