アフガン情勢に関するメッセージ
2022年4月4日


「今日のメッセージ 2022/4/4」

 先週アフガン関連ニュースを見ていて驚いたのは、2月末のネット記事だがタリバンがロシアとウクライナ双方に「暴力の停止と対話による平和的な解決を求める声明を出した」という記事だ。「民間人の犠牲が増える可能性を懸念している」とも述べられている。(BuzzFeed Japanの記事より

ウクライナについて言及する前に、「脚下照顧」。まず、自分の足元を見て欲しい。圧政に苦しむ国民の顔も姿も見えないのだろうか。

 タリバンは先日、女子学生の中高授業再開を取り止めた。それに対し、国際アムネスティーは「女子教育再開は譲れぬ一線」と声明を出した。 アントニオ・グテーレス国連事務総長も、女子教育の停止は「国全体に害を及ぼす不当な平等の権利の侵害」と声明を発表している。



女性から教育を奪おうとするタリバンの行動に、世界銀行は進行中だった6億ドル相当の支援プロジェクトを停止した。(TOROnewsのツイート

自分たちの意に従わない人物の拘束も一向に止む気配がない。国際アムネスティーは、ヘラートでも詩人でジャーナリストのハリド・カデリがタリバン批判をしたことで拘束されていると伝えている。(ツイートを表示

公立大学では女子学生の授業が再開されていたが、タリバン側の服装の指示に従わないという理由で、女性学生への暴力が振るわれているようだ。(ツイートを表示

「全く現代にマッチしていないタリバン支配下で『混迷は深まるばかり』と、国民抵抗戦線の外交部長アリ・ナザリーもツイートした。

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 苦しむ国民への国際支援も、タリバンは自分たちが取り仕切ろうとしている。どうして国際社会が自分たちを信用しないのかも省みることなく、NGOの職員も自分たちで採用することをも求めているという。
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 女性の仕事や教育、人々の尊厳を奪っているタリバン。その抑圧の対象はスマホにも向けられている。女性のスマホ使用を禁じてきたが、今度は没収したスマホを壊し始めていると言うのだ。その様子が「タリバン、スマホにジハード(聖戦)」とツイッターで紹介されている。以前、マネキンの首を切り落としているのをツイッターで見たことがあったが、スマホ破壊もそれに劣らない衝撃だ。(ツイートを表示


犬をいたぶって遊ぶシーンも投稿されている。このような輩が人々を銃で威嚇して、自分たちの価値観を押し付ける・・・それがアフガニスタンの現状だ。(ツイートを表示

 3月31日、中国安徽省でアフガニスタンの現状について討論する周辺7カ国の外相による会議が開かれた。それを報じた毎日新聞は「会議は、この半年間のタリバンの統治努力を認めた」と総括しているが、果たしてそうだろうか。タリバンの過激派輸出に危機感を持つタジキスタンやウズベキスタン、さらには欧米との関係が良好とはいえないイラン、タリバンの後ろ盾であるパキスタンも加わっているが、会議は欧米の責任を訴えたもので、米国やヨーロッパ諸国を牽制したいロシアと中国が、自らの立場を国際的にアピールする場に過ぎず、緊急に支援を要するアフガン人へのサポートにはならないようだ。
毎日新聞の当該記事

その会議に先立ち、国民抵抗戦線(NRF)代表のアフマド・マスードは、6ヵ国に「タリバンを承認することがないように」と書簡を送った。



 タリバンを承認することの危険について、国民抵抗戦線の外交部長アリ・ナザリーは「世界はアフガニスタンから去ったが、数年後、テロリストの活動がここから世界に広がるだろう」と述べている。


〈インタビューを受けるアリ・ナザリー〉


春になり、抵抗戦線が各地で戦いを始めている。北部を中心に11州でタリバンとの戦闘が起きていると、現地からニュースが届いている。抵抗戦線には旧国軍の有力者たちも加わり次第に勢力を増しているようだが、その勝利は国民の支持にかかっている。


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 アフガニスタンをはじめとするイスラム世界は、一昨日からラマダン(断食月)に入った。日の出から日の入りまで食べ物と水を口にできない1ヶ月のつらい苦行だが、それが終わったとき、人々は深い達成感に満たされる。
 いま、季節は冬から春へと移り変わっている。日ごとに増して行く春の日差しとともに、アフガニスタンの人々に平和と自由が訪れ、心穏やかに過ごせる日が、一刻も早くやってきますように。

     2022年4月4日 長倉洋海




〈ラマダンのグリーティングカードがカブールの安井さんから届きました。〉





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