アフガン情勢に関するメッセージ
2022年3月13日


「今日のメッセージ 2022/3/13」


<国際女性デーの3月8日、北隣の国タジキスタンのドゥ・シャンベの花屋さんの光景。ツイッターより>

 国際女性デーの8日、アフガニスタンの女性活動家たちからウクライナ女性への連帯のカードがツイッターに投稿された。その日もウクライナではロシア軍の攻撃が止まず多くの人が傷ついていたが、国外に逃れた人も、国内にとどまった人も、「国を愛し守ろう」とする気持ちは一緒だと思う。

アフガニスタンの女性活動家で、このメッセージでもたびたびお伝えしているホダ・カモーシュさんも、女性の連帯をメッセージにして投稿した。(ツイートを表示


アフガニスタン各地で女性たちが「国際女性デー」のために集った。

<手を組み、心を一つにする。中心に置かれたカードには『Let’s united and break down this cage (団結してこの檻を壊そう)』と書かれている。ツイッターより>

少女たちもプラカードを掲げた。

ツイートを表示

しかし、この日もタリバンによる残虐非道な行為はとどまることはなかった。それは、国連アフガン支援ミッション(UNAMA)がこの日に「アフガニスタンの女性??に起こっていることは壊滅的である」と述べ、アフガニスタンの女性??の窮状に懸念を表明したほどだ。(ツイートを表示

EU議会のアイルランド選出議員クレア・デイリーは「(ウクライナに目が注がれているが)数万が脱出を求め、500万の子が飢えに瀕し、家族のために売られていく子どもがいるというアフガニスタンの現実と人道的危機を忘れてはいけません」とスピーチした。彼女は「私たちはカタストロフ(壊滅)的な危機におかれている」とも話した。(ツイートを表示


ジュネーブの国連事務局の英国特使サイモン・アンリは「アフガニスタン政府はパシュトゥーン人によって支配され、少数派グループのメンバーは勾留され、拷問され、逃亡を余儀なくされている」と非難している。
ツイートを表示

 しかし、タリバンの非人間的、暴虐無人的な行為は収まらない。パンシール州では自分の店に向かう若者が殺され、カブールの検問所では男性が仕事帰りに突然、撃たれて死亡した。(ツイートを表示

タリバンが無抵抗の人をあっという間に殺してしまう映像もツイッターにアップされている。投稿には「あなたはまだタリバンと交流したいですか?これらの犯罪でまだ足りませんか?」と書かれている。

ツイートを表示)※過激な映像が添付されています。閲覧にはご注意ください。

サキという男性はパンシール州のヘンジで不当逮捕された100名のうちの一人。殺されて家族のもとに送り返されたという。

ツイートを表示

 しかし、その状況でも女性活動家たちが8万人の署名とともに「女性の権利を求める請願」を提出したと、アフガニスタンの独立系日刊紙のツイッター投稿があった。

ツイートを表示


<私たちは沈黙しないとツイッターにアップされた写真>


 女性ばかりでなく、多くの人たちが「このままではいけない」という思いを強くしていると思う。それは「自分自身は1ピースでしかないが、それが集まって大きな声となり、希望に繋がり、世界を変えていくのではないか」という思いだ。国民抵抗戦線の戦いがあり、女性たちのデモがあり、世界の女性たちとの連帯がある。「“希望”を作り上げて行くのは、私たち自身なのだ」という気概でもある。
そうした世界各地の不条理への闘い、それを見守り応援する私たちも、そのピースのひとつであることも間違いない。それらの無数のピースが集まった時、プーチンの野望を挫き、タリバンの圧政をやめさせることができるはずだ。

 今は自宅で軟禁状態にあるアフガニスタンの元国家和解高等評議会議長 Dr.アブドラアブドラも「今まで多大の犠牲を払ってきた女性たち、私たちのアイデンティティの一部である女性たち、あなたたちの権利を支持します」とメッセージを投稿している。(ツイートを表示
彼も彼の場所で頑張っていると思う。私も私の場所で頑張ろうと思う。


★Dr.アブドラアブドラ自宅軟禁の情報を伝えるアフガニスタン・インターナショナルのツイート。(右側の青い服の男性がDr.アブドラアブドラ。中央が同様に自宅軟禁中のカルザイ元大統領。)


 春になり北部のパルワン、カピサ、バダフシャン、タハールなどの州でNRF(国民抵抗戦線)が戦いを始めた。それはプーチンのロシアがウクライナに仕掛けたようなものでなく、「自分たちの守るべきもの」のために命がけで戦うレジスタンスだ。それが消えた時、アフガニスタンは本当の闇に包まれる。たくさんのピースがひとつの理念のもとに集まることで、その闇を振り払える日が必ず来るはずだ。


<カブールに街に並んだザクロ。ツイッターより>


<バダフシャンの州都ファイザバード。ツイッターより>

人々がザクロの風味を心から楽しめる日、美しいアフガニスタンの風景を見ながら心安らげられる日が早く来ますように。

     2022年3月13日 長倉洋海







[アフガン情勢に関するメッセージ一覧]へ
[長倉洋海トップページ]へ