アフガン情勢に関するメッセージ
2022年1月26日


「今日のメッセージ 2022/1/26」

 現在、ノルウェーのオスロでタリバンを招待しての会議が開かれている。「タリバンを承認したということではない、国を統治する人と話をする必要がある」とノルウェー当局者。しかし、現地ではアフガン人の抗議運動などが続いている。

★プライベートジェットでノルウェーに向かうタリバン代表団。左端がムッタキ外相代行。(Twitterより)


 会議では、タリバンがEUなどの特別代表や、女性活動家やジャーナリストにも会う予定と報じられている。ノルウェーの外相アニケン・ホイットフエルト女史は「女子教育と人権」に関して、「私たちの期待を明確にする」と述べ、一方のタリバンは「教育と人権について勉強したい」と話しているという。
 タリバンを代表として招くことに国内外から賛否の声が起きているが、会議によってアフガニスタン国民にとって希望が見え、現状を改善できる進展が見られるならそれに越したことはないと私は思う。何よりも大切なのは国民の命であり、声であるからだ。

★ タリバンのノルウェー訪問に反対の声を上げるオスロのアフガン難民たち。ノルウェーが世界のタリバン承認への風穴になることを恐れている。「タリバンが8月にカブールに到着して以来、これはタリバンの高官代表団によるヨーロッパへの最初の訪問である」。(Twitterより)


★「タリバンを承認するな」というオスロでの抗議運動ポスター


★カブールでも抗議の声が上がっている。(ツイートを表示)(記事を表示


 オスロ会議に加わった女性オダハアモーシュは、ムッタキ外相に電話して3人の女性活動家を釈放するよう求めたというが、会議のアフガン関係者によると「『誰も逮捕していない』と答えた」と言われる。(ツイートを表示


釈放を求めた3人の女性活動家のうちの1人は、前々回のメッセージで「家のドアを蹴破ってタリバンが入ってこようとした」と恐怖の表情で語っていた動画のタマナさんだ。彼女はその翌日、3人の姉妹と一緒に連行された。
タリバンの広報官は「外国に逃れるための演技だ。そうした事実はない」と否定したが、同じアパートの多くの人々が連行を証言している。

★連行を伝える毎日新聞記事(有料)(クリックで表示

★産経新聞でも報じている。(クリックで表示

★タリバンのスハイル・シャヒーン広報官はBBC記者に対し、タマナさんの動画は偽りだと話した。(ツイートを表示

しかし、国際機関が既にこの事実を認め、次々に声明を出している。

★国際アムネスティは「事実上の当局として、タリバーンはこの事件を緊急に調査し、拘留されている場合は直ちに無条件にこれらの女性活動家を釈放しなければならない」とし、拘束を否定するだけでなく無事であることを見せなければならないとツイート

★国連アフガン・ミッション(UNAMA)もその事実を認め釈放を要求している。
トロニュースの記事を表示

★女性活動家のセラジ・マブーフさんもBBCニュースで「女性活動家の拘留は戦争犯罪」と強く抗議している。(ツイートを表示

★国民抵抗戦線も本日付けの公式声明で、オスロ会議での女性達の訴えを支持すると発表した。


 タリバンが国家や政体について語るなら、女性や旧政府関係者やジャーナリストを逮捕していないと嘘をついたり、人々に与えるべき食料を奪ったりするという行為を改めてから、言うべきことがあるなら言ってほしい。そして、国民が納得できるようにきちんと説明すべきだ。多くのアフガン人もそれを願っていると思う。
例えば、女性を強制的に動員して「私たちに民主主義は必要ない」とデモをさせることもあまりに幼稚だ。参加した女性が後日「無理やりだった」とアフガニスタン・インターナショナルに証言している。。(ツイートを表示


 どうして簡単にわかる嘘をつくのだろうか。それが彼らへの不信に繋がっていると理解できなのだろうか。冒頭でお伝えしたが、ノルウェー外相に対して「教育と人権について勉強したい」と話していたのは、一体なんなのか。

 そして、本来なら、弱く貧困に苦しむ人々、子どもたちに与えられるべき援助品が、タリバンに配られている。

★「タリバン自身によって公開されたこれらの市内の対外援助の流れの写真は、受取者のほとんどがグループのメンバーであることを示しています。」とのツイート


国際会議に参加するなら、女性活動家を拘留したままにしたり、援助品の不公平な分配行為をやめてからにして欲しいと思うのは私だけだろうか。

 アフガニスタンの人々のことを思うと心が曇りがちだが、こんな嬉しいニュースが届いた。
最近、抵抗戦線側が解放したというニュースが流れているパンシール州最上流部のパリオンで、子供達に文房具が配られている映像がツイッターに投稿された。ツイートでは、「教育こそが1番の優先事項です」とコメントされていた。動画の中で嬉しそうにしている子どもたちを見て欲しい。粗末な服を着て、生活の大変さが見て取れる。しかし、勉強でお腹は膨れないが、新しい世界を知ること、世界とつながることができる。そんな希望が感じ取れる映像だ。
ツイートを表示


★戦いを続ける抵抗戦線の兵士も山の中で本を読んでいる。


 アフガニスタンの首都カブールが雪化粧している写真がツイッターに上がった。


「家は冷蔵庫のように冷え切っている」と現地の知り合いからメールが届いた。


 寒い季節を乗り越えたら、きっと春が来る。
日差しと温もりが感じられる「春」が一刻も早くアフガニスタンにきて欲しいと願っている。   

   2022年1月26日  長倉洋海



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