アフガン情勢に関するメッセージ
2022年1月6日


「今日のメッセージ 2022/1/6」

 新しい年がやってきたが、アフガニスタンは厳冬。人々は暖をとる薪も食べ物も手に入らず、辛い思いをしているに違いない。山の学校の子どもたちの一部はパンシール州の中心バザラックの町にもいるようだが、そこでも学校をタリバンが占拠し宿舎にしているため、学校での通常の授業は再開できていない。しかし、子どもたちの学びたいという気持ちは消えることなく燃え盛っている、と現地からの情報が入った。

 山では、厳寒のヒンズークシの稜線を移動する国民抵抗戦線の兵士がスマホを手に「我々のダカルワルー・シャムーン司令官が、特殊部隊とともに帰ってきて配置についた。私たちはパンシールのあらゆるところにいる。一ヶ月、あるいは二ヶ月後、イスラムを穢し住民を苦しめるタリバンを死体にして彼らのご主人様の元に送り返すだろう」と話している。「筋肉を動かすために外に出た」と言っているのは強がりのようにも見えるが、彼らは簡単に屈しないだろう。
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★別のツイートには、ソ連軍と戦っていた頃のマスードが山を行く写真が投稿されていた。


 タリバンの統治は4ヶ月を超えた。アフガニスタンから逃れイラン経由でトルコに向かった女性が、山中で2人の女の子と一緒に凍死したという悲しいニュースがあった。
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 タリバンは市民の携帯をチェックし、反タリバン運動に目を光らせている。路上で人々の通信記録を調べるシーンがBBCのカブール特派員によって流された。暴力でデモをやめさせ、次には携帯を調べ、人々が何を考えているか監視しているのだ。(ツイートを表示

 それでも、人々はくじけない。パラワン州の女性たちは「私たちは光の中で死ぬ準備はできていますが、無知のまま生きることはできません。アフガニスタンの女性は囚人です。移動の自由、就業の権利、教育の場を求めます」と室内で抗議している。(ツイートを表示

★カブールでも、路上の抗議活動が弾圧され難しくなっているため室内で「行動の自由」を訴え抗議している。(↓クリックでツイートを表示)


★バグランの少女たちも「正義の実現」を求めて声を上げている。(ツイートを表示

 しかし、タリバンはそうした声に耳を傾けるより、自爆攻撃部隊の拡充に忙しいようだ。報道官が「再編する国軍の中に自爆旅団を設ける」と会見している。
(↓クリックで記事を表示)

その目的はイスラム過激派内で対立関係にあるIS-Kとの抗争に勝つためらしいが、ライバルが集会を開いている場にでも潜入させるつもりなのだろうか。そして、それが可能だと考えているのだろうか。
それに対し、国民抵抗戦線のアリ・ナザリー外務担当官は「テロリストグループを正常化するとことは、世界中のテロリストに正当性を与えるでしょう」と述べている。

下の写真は国防省の自爆攻撃旅団の事務所だが、またもや机の上に地球儀が。以前、地球儀を見てもアフガニスタンがどこにあるかわからないタリバンの知事がいたが、今度は地球儀を見ながら「世界のどこを攻撃するか」と考えるのだろうか。あるいは「いつも世界のことを考えている」というポーズなのか。考えていることがよくわからない。

 配下のタリバン兵はカブール市内で、街中のマネキンを集めては首を落としている。
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一方で、マネキンの胸に興味津々の兵士もいて、タリバンとは一体何者なのか、という私の疑問の答えはいまも見つからないままだ。(↓クリックでツイートを表示)

ちなみに、この写真には「マネキン虐殺の理由をご理解いただければ幸いです」というコメントがついて投稿されていた。

 ここに写っているのが「タリバンの真実」だとは思わない。タリバンが何を考えているのかのヒントが、1月5日の毎日新聞で松井特派員が書いた記事にあった。(有料記事)
(↓クリックで記事を表示)

記事によると、関係者の話として「最高指導のアクンザダ師はシャリーア(イスラム法)による統治にしか興味がない。『経済の今来は体制が変われば常にあることだ。シャリーアの運用に関して譲歩することはできない。この20年の戦いの意味が失われる』と言った」と報じているのだ。

 人々の生活や命よりもシャリーアが大切なのか。人々の願いや気持ちよりも、紙に書かれた1400年前の言葉を金科玉条とすることしかできないのか。
これがタリバンの本質かもしれない。現代と過去との齟齬ばかりでなく、生きている人が見えていない、否、見ようとしていない。
それがタリバンの真実なのだ。

     2022年1月6日 長倉洋海


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