「今日のメッセージ 2021/12/29」
タリバンが、大勢の兵士を送り込み駐留を続けているパンシール渓谷。上流部のアナワで12月26日、若者が殺され、棺のまわりに人が集まった。タリバンの車がやってきたが、人々の憤怒は収まらず、現場は騒然とした雰囲気に包まれた。(↓クリックでツイート表示)
現地からの情報では、このあとNRF(国民抵抗戦線)とタリバンとの戦闘が始まったとのこと。ただ詳細はまだ伝わってこない。
パンシールでは女性たちもタリバンに抗議の声をあげている。ガニ大統領が去って政府が瓦解した後の、タリバンの不正義と暴力の横行に耐えきれないと叫んでいる。(ツイートを表示)
国民抵抗戦線の外務担当官アリ・ナザリーは「国際社会は自由と正義を求める勇敢な姉妹たちの声にこそ耳を傾けて欲しい。タリバンではなく彼女たちこそ国民の代表なのだから」とツイートしている。(ナザリーのツイートを表示)
★カブールでも女性たちの抗議が続く。彼女たちは怯むことなく勇敢に自分たちの声をあげている。(ツイートを表示)
★このデモでは国際手話を交えて女性たちが思いを伝えた。(ツイートを表示)
対英戦争(19~20世紀初頭)当時、倒れた戦士が持っていた旗を受け継ぎ果敢に旗を振る女性を描いた絵画を投稿し、デモをする女性たちの勇気を讃えるツイッター投稿も見られた。
登校できない女生徒たちも、街頭でデモ行進する姿があった。投稿者は「タリバンの威嚇射撃の間も勇気を持って正義”を訴える娘たちの姿は、90年代の女性とは違っている」と書いている。(ツイートを表示)
こうした声を聞く耳を持たないタリバンは、選挙管理委員会を「不必要」として解体した。
「選挙をするつもりはありません」ということのようだ。 (時事ドットコムニュースを表示)
また、平和省と議会省も同様に解散するという。
タリバンは、さらに国民の自由を奪う命令を出した。男性近親者の同伴なしでの女性の遠出を禁止し、車内で音楽を聞くことも禁止したと共同通信が伝えている。(ニュースを表示)
驚いたのはタリバン兵士が「アッラー・アクバル」(神は偉大なり)と叫びながら、ハープやドラムなどを破壊している投稿映像。楽器ばかりでなく、豊かな音楽世界、様々な文化も一緒に破壊されていく。(↓クリックでツイート表示)
タリバンは音楽を聞かないのだろうか。楽しむことはないのだろうか。
楽器を破壊する映像の投稿に反応する形で、タリバン兵が銃を手に踊るツイッターが投稿された。しかし、すぐに「これはタリバンではない。西欧人は銃を持ってヒゲを生やしているとすぐタリバンだと言うが、これはパキスタン北西州のトライバル・エリア(部族地域)で撮られたものだ」という弁護の投稿がなされた。だが、この地域は多くのタリバンの出身地域でもあり、銃を手に踊った彼らはタリバンと同じパシュトゥーン人なのだ。
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このように、パシュトゥーン人でも音楽や踊りを楽しんでいるのに、他の人には禁じているということがダブルスタンダード(二重基準)ではないのか。
自分たちは食べているが、食べられない人のことは気にかけない。
自分たちは人を叩くのに、他者の痛みを感じようとしない。
そうした人々がこの国を支配しようとしている現実に私も怖気を覚える。
それを象徴するような厳しい映像もある。「バスから引き出された殺されたハザラの人々」という説明がついたものだ。
※※厳しい映像です。閲覧は注意してください。(映像を含むツイートを表示)
タリバンが小さな男の子に銃を持たせて警備している写真もある。
(↓クリックでツイートを表示)
★少年がタリバン兵に道端で暴力をふるわれている動画の投稿には、「暴力は日常茶飯事で、いつ起こるかわからない。自分の息子に、あるいは兄弟、友達に起きるかもしれない」と書いている。(ツイートを表示)
タリバンの暴力の映像がこれだけ溢れていても、世界や日本のメディアは「自分たちが見ていないし、確認が取れない」と報じないのだろうか。せめて、こうした映像がツイッターに溢れることについて感じたことを文章やコラムなどで伝えられないのだろうか。
きっと彼らはいうのだろう。「もっと事件が大きくなれば。もっと犠牲者が出れば」と。今日、ミャンマー国軍が大勢の村人・子供を虐殺したことについて大きく報じられているが、その前に、国軍の不当性をもっと声を大にして訴えることはできなかったのだろうか・・・。
今日のメッセージでお伝えしたように、アフガニスタンでは人々の怒りが沸点に近づきつつある。「その前に、大きな衝突が起きる前に」と思うが、アフガニスタンの報道は、日々小さくなっているのが悲しく辛い。
2021年12月29日 長倉洋海
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