「今日のメッセージ 2021/12/1」
タリバンは迷走している。シャー・アッバス・スタネクザイ外務副大臣が「米国が今日、カブールに大使館を開設したら、ヨーロッパの全ての国々が30分以内にカブールに大使館を開設します」と会見で話した。
それに対し、マリアン・マスードは「アメリカへの不信のために、あなたは戦いをし、人々を流血の中に引きずり込みました。 今までアメリカ人と一緒に働いた人々は、不信心者としてあなたから命を狙われています。
それなのに、なぜ、あなたは今、米国の支援を求めたり関係を深めようとしているのですか? アメリカに懇願することはあなたを不信心者にすることにならないのですか? 」とツイッターで痛烈に批判している(マリアン・マスードのツイート)。
米国に協力を求めるタリバンだが、米国からこんな要求を突きつけられている。
アフガニスタンインターナショナルが最新ニュースとして、「 9.11の犠牲者家族の弁護士は、タリバンからの補償を求めて米国政府と話し合っており、アフガニスタン中央銀行の資産からお金を支払うことを望んでいます。 裁判所の判決次第では、タリバンは事件のために遺族に70億ドルを支払わなければならないことになります」と伝えた(元のツイート)。
タリバン暫定政権内にアルカイダの現役メンバーが入るなどしている以上、そう訴えられても仕方ないかもしれない。それは自業自得かもしれないが、そのツケをアフガン国民が払うとしたら、こんな理不尽なことはない。
国際社会に承認されようと懸命なタリバン上層部だが、国内ではいまだにタリバンによる非道な行為は続いている。
パンシール州の高校の校長であるGhaziKhan氏が、抵抗戦線に関係しているという理由で20日前にタリバンに拉致され行方がわからないというニュース。家族には連絡がなく、誰も彼の所在を知らないという。(行方不明を伝えるツイート)
一方、南部のヘルマンド州ラシュカルガーで、文具店の店主ナビットがタリバンに勾留されたあと殺され、ヘルマンド川で遺体が見つかった。従兄弟は、彼がFBでタリバンを時々批判していたからかもしれないと話している。(ツイートより)。
※ツイートには厳しい写真が掲載されています。閲覧にご注意ください。
西部のヘラートでは、試験のために村を出ようとしたアムルディン青年(博士)がタリバンのチェックポイントでタリバン兵に胸を撃たれた。
「両親の嘆き悲しむ姿が周りの人の涙を誘った」とツイートされている。
ジュズジャン州のQoshTepe地区では、トルクメンとウズベグの人々がパシュトゥーン人に家、農場、彼らの車を奪われ、それに抵抗した人々がタリバンに拘束され拷問を受けたと抗議している。
(ツイートより)
★タリバンが学校の窓ガラスを破壊する映像(ツイート)。
これまでのメッセージでも再三伝えているとおり、本当にたくさんの人が突然誘拐されたり殺害されてきたし、今もそれが続いている。
その事実を、人権擁護団体も報告した。記事には「タリバンは、安全証明書を送るためと称し、旧治安部隊のメンバーに情報を登録するよう要請したが、この情報を拘束や処刑、あるいは「失踪」のために利用していた」との記載もある。
(BBCニュース )
そして、タリバンはまた新たに女性に対する制限を増やしてもいる。
★女性のテレビ番組への出演が禁止されたと報じるニュース
★メディアでの女性の出演制限に関するニュース等に抗議するためにカブールの学校の前に集まった女性たち。(元のツイート)
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(こちらのツイートもご覧ください)。
このような状態のタリバン暫定政権に対し、米国はタリバン幹部との会談で「アフガン市民への人道支援は米政府として続けていく」としながらも、制裁対象への制裁解除には慎重な態度を見せた。(Yahoo - 読売新聞より)
冒頭の米国の9.11遺族への補償問題なども含め、迷走するタリバン暫定政権の
犠牲になるのは誰なのか。
犠牲になっているのは誰なのか。
今この時も餓死に直面している、多くのアフガニスタンの人々の姿が浮かぶ。
パンシール州でソーイという山菜を採る子どもたちの写真が、数日前にツイッターに上がった。とても懐かしい光景に心が和んだ。
学校に通う日を心待ちにしている子供たちの映像からは、NGOに本とカバンをプレゼントされ嬉しそうな表情に光を感じた。(動画は↓をクリック)
苦難の中にあっても、子どもたちのあどけない表情、快活な姿に触れた時、大人たちは「この子たちのために頑張らねば」と思うに違いない。そんな思いを持てない人間にはなりたくない、と、撮影者たちはこれらの映像や写真を撮ったのではないか。
子どもたちは、小さくても光り輝く、未来への希望だから。
2021年12月1日 長倉洋海
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