アフガン情勢に関するメッセージ
2021年11月22日


「今日のメッセージ 2021/11/22」

 数日前、『NRF(国民抵抗戦線)について知っておくべきこと』と題するコメントがマリアン(マスードの娘)のツイッターで紹介された。日本のメディアでは紹介されていないので、是非、お伝えしたい。それにしても、日本のメディアがNRFの活動や目的を全く取り上げないのは何故だろうか。「パンシール州だけの限定的な動きだから」というなら、それは違う。何故ならバタフシャンでもバグランでも、アンダローブでも、カピサなどの北部諸州で抵抗運動が起きているからだ。では、何故なのか。きっとそれは、たくさんの死者が出るような大事件にまだなっていないから、あるいは日本と特別な関わりもないから、ではないだろうか。注目を集めるものばかりを報道するなら、それは本来のジャーナリズムではない、単なる「ゴシップ屋」さんだ。

 「歴史を見通す目」こそが問われている。かくいう私もその目を備えているわけではないが、アフガニスタンの「闇」の向こうに「光」を見つけたいと願っている。それが微弱な光であっても、人々は求めているからだ。
人は「希望」なくして生きてはいけない。だから、わずかな光でも拾い上げて広く伝えること、そのことで光はさらに大きくなっていく。記者が自らに「生きることの意味と意義」を問いかけることなくして、人の心に染み入る報道はできないのではないか。
私にとっての希望は、自由と抑圧への抵抗を掲げる国民抵抗戦線の存在だ。以下の主張から、困難に向こうに見える光を感じてもらえればと願う。

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『NRF(国民抵抗戦線)について知っておくべきこと』 (ツイッターより)
※以下は簡単な訳文です。原文はこちらを参照ください。

作り話(1)<彼らは国の分割を考えている>
真実:NRF民族抵抗戦線は、政治・行政の分権化を提唱しています。
それは社会的正義を保障し、全ての異なるコミュニティを認めることになります。アフガニスタンにおける国家形成のプロセスは、人々の多くの問題を引き起こしてきました。多様なコミュニティが存在し、それぞれが独自の文化、歴史、文化遺産を持つアフガニスタンでは、中央集権的なシステムはうまくいきません。集団全体に均質で単一の性格を構築することは現実的ではなく、常に問題を引き起こすでしょう。その解決は地域レベルで自分たちのリーダーを選び、必要に応じて責任を負うことができる地方分権になって初めて可能なのです。NRFはアフガニスタンを異なる小国に分割することを主張しているのではないのです。

作り話(2)<国の名前が変わる>
真実:彼らはそうしたことに言及したことはありません。NRFは、何度も、何度も「アフガニスタン」と言ってきました。人々の基本的な権利が守られる自由なアフガニスタンのために戦っています。タリバンに殺されたり、狙われたり、弾圧されたりしている現在、国名の変更よりも安全と正義の権利を守ることが優先されます。それは存在する権利です。

作り話(3)<彼らは国旗を変えるでしょう>
—略—

作り話(4)<彼らはパンシールのことしか考えていない>
真実:NRFはパンシールを拠点としていますが、それはパンシールの戦いだけを意味するものではありません。パンシールは34州の中で最も小さな州であり、彼らが少ない武装集団でアフガニスタン全体を救うことを期待はできません。国全体を救えないからと言って、彼らに責任を問うことはできません。第二に、戦争の中では、自分の家族を守ることを考えなければなりません。弱い立場にある女性や子供、お年寄りを置き去りにして、少ないグループで他の州に戦いに行くことは論理的ではありません。特に、歴史的にタリバンを支援してきたことで知られている州であれば、攻撃や民族浄化を引き起こす可能性があります。

作り話(5)<彼らはISKの仲間だ>
—略—
真実:それは全く真実ではありません。それよりももっと興味深い事実があります。
タリバンはハッカニネットワークを通じてISKと繋がっています。ハッカニグループのリーダーはタリバンが作った非合法政権の閣僚の一人でもあります。現在、カブールの治安を担当しているのは500万ドルの懸賞金が書けられているKhalil Haqqani (カリル・ハッカニ)です。

作り話(6)<彼らは北部同盟である>
真実:実際には、NRFはアフマド・マスードを主要指導者とする新しい運動です。北部同盟は1996年から2001年まで活動していましたが、指導者たちは生存していないか、国外に逃亡しているか、無関係でいることを選んだため、現在のレジスタンスはそれ以上の関わりを持っていません。現代の運動は、希望に満ちた未来と、新しい頭脳と顔を持つ人々が参加する再出発の象徴であると考えられています。32歳のアフマド・マスードがその一例です。

作り話(7)<彼らはタリバンのように邪悪である>
真実:タリバンとは対照的に、NRFは血に飢えていない新しい運動です。過去20年間、私たちはタリバンがいかに残酷であるか見てきました。政府関係者やジャーナリストの殺害から、ハザラ人の民族浄化、混雑している通りや建物への自爆テロまで。「彼らが変わった」という偽りのシナリオを考慮しても、彼らは変わっていないことがわかります。政権交代が始まって以来、彼らは路上や空港で無実の人々や抗議者を殴り続けています。彼らは前政権で働いた人々やジャーナリストを一軒一軒家捜しし、家族さえも安全ではありません。—(中略)—いくつかの地域では人々はタリバンによって家を追い出されています。その家はアフガン・タリバンやパキスタン・タリバンを収容するためです。
結論として、アフガニスタンの民族抵抗戦線の寛容な価値観は、タリバンの非イスラム的な価値観とは全く異なるものです。

作り話(8)<抵抗戦線は不必要な暴力を使っている>
抵抗戦線の主な目的は、アフガニスタンでのさらなる流血を避け、新しい政府の体制作りを求めることです。アフマド・マスードは戦闘ではなく、宗教学者による解決策の提案を歓迎していましたが、タリバン側からの回答はなく、何度かの会談ののち、タリバンは約束を破って攻撃を仕掛け交渉は決裂しました。
平和的解決が失敗したので抵抗が続いているのです。
「中立」はありません。占領者の側につくか、自分の国の自由のために戦う抵抗勢力の側につくか。「中立」は国外にいるあなたにとっての特権です。
—略—
今、この占領者たちに圧力をかけて打ち負かすという機会を失ったら、永遠にこの状態が続くことになります。
アフガニスタンは占領されているのです。

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この文章を書いたのはツイッター名thelandofsunriseさんで、最後にこう記しています。
「二ヶ月前まで、私は抵抗戦線を支援する気持ちはありませんでした。レジスタンスに正義はない、と周りから吹き込まれていたからです。それは特定の民族コミュニティに対する親から受け継いだ根深い憎しみに基づいたものでした。しかし、私は、この終わりのない世代間の憎しみのサイクルを断ち切ることを学ばなければ、本当の意味での包括的な団結と進歩から程遠いことを実感しました。
国民抵抗戦線は、私たちの愛するアフガニスタンのための真の包括的統一と進歩への第一歩です。彼らは人々に正義と(民族的)平等をもたらす地方分権、自由と女性の社会参加を支持しています。彼らはテロリズムではなく、真のイスラム教を支持しているのです。そして、世界平和に役立とうとしています。
パンシールだけでなく、バタフシャン、ナンガハル、パラワン、カンダハル、カピサ、バグラン、ヘラート、ラグマンなどNRFとの同盟を誓った多くの州と地域があります。それはアフガニスタンを占領者から解放し、我々の基本的な権利を守るための同盟です。」

★マリアンは女性への公開鞭打ちの映像を紹介。こんな暴力を見て育つ子どもたちの未来を嘆いています。
(←Twitterより


〈タリバンに捉えられた人たち。抵抗戦線だと主張している。〉

★「私たちは正義を求めます。北部出身であることがどうして犯罪なのですか」とデモをする女性たち。(Twitterより


〈国民の現状や抗議の声など聞こえないかのように豪勢な食事をとるタリバン幹部たち。こんな写真を公開する神経が私には信じられない。〉


光と闇。闇が多くても、光が勝る。
それは人々の生きる支えだから。

   2021年11月22日 長倉洋海


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