「今日のメッセージ 2021/11/17」
今日もタリバンは何も変わっていないようだ。驚いたのは、タリバンのムッタキ外相代行が「見せかけの政権は作らない」と述べ、各勢力を含めた包括的な政権作りを否定したことだ。
多くの国民が望んでいる政権の姿がどうして見せかけなのか・・・。タリバンにとって「包括的政権」とは「国際社会が望む政権」であり、アフガン人の望む政権ではないということか。
では、見せかけではない彼らのいう「アフガン人のための政権」とは何なのか。外相、内相、教育相など4人の閣僚が国際テロリストのハッカーニ・ネットワークのメンバーである政権はまさに「国家を乗っ取ったテロリストの内閣」ではないのか。
★タリバン外相代行の発言
「われわれはアフガニスタンの人たちのための政権を作る。国際社会の要求に応えるためだけの見せかけの政権を作るつもりはない」(NHK news Webより)
★JOURNEYMAN TVは「タリバンは変わったのか」という番組を流した。(Twitterより)
経済が破綻し、子どもを売りに出す家族もいるのに、彼らは従来の姿勢を改める姿勢をまったく見せない。ジャーナリストや女性が、誰もが、必死の思いと覚悟で非難の声を上げている。
★「女性の声が認められない社会は魂のない社会」と訴えるジャーナリストたち(Twitterより)
★「抵抗戦線の声は私たちの声です。タリバンを受け入れることは人間としての死です」と訴える女性たち(Twitterより)
★「恩赦があると言いながら、どうして毎日、大勢の若者が連れ去られるのか」と女性は叫ぶ。(Twitterより)
それでもタリバンのタジクやハザラへの暴力や虐殺は収まらない。
★「命令を待っているところだが、ハザラをいつまでも生かしておく気はない」とタリバン司令官。ジェノサイドは続いている。(Twitterより)
冬を乗り切るために衣類を路上で売る女性の姿がツイッターに投稿された。
彼女はジャーナリストだったが、タリバンの政権掌握後、職を失った。
国民が空腹に苦しんでいる中で、粗食に耐えたマスードと、タリバン幹部たちの写真を対比して「多くの疑問の答えがここにある」という投稿もあった。
★苦境から抜け出すために教育に活路を求める女性たち(Yahoo - COURIER Japon)
★パンシールで「自由の象徴」である抵抗戦線の旗を掲げる勇敢な女性の姿(ツイート)
タリバン批判をしていた著名なジャーナリストが乗ったバスが爆破される事件もあった。
世界各地で抗議の声が上がっているが、タリバンは一度掴んだ権力を引き渡すことも、それを共有しようとも考えていないのは明白だ。ではどうしたらいいのか。
国際社会はアフガン難民を自国に受け入れるだけでなく、アフガン国民の本当の声を聞くための選挙を国際監視団のもとで実施する方向へ促すことに全力を注ぐべきだと思う。タリバンは冒頭のような発言をしているのだから、それは困難を極めることだろうが、それでも必要だと思う。タリバンの横暴と蛮行が続く中で、これ以上の飢餓や難民の流出が続けば、アフガニスタンはやせ細り、復興は遠のくばかりだ。
現在の対応も大切だが、国際社会全体がアフガニスタンの未来を見据えた政治的な行動を取って欲しいと切に願う。
2021年11月17日 長倉洋海
〈シドニーでのタリバンへの抗議と国民抵抗戦線支持の集会〉
〈厳冬の中、抵抗を続ける抵抗戦線。中央はマスードとともに戦い、いま息子とともに戦い続けるサーレ・レギスタニ。〉
★11月14日の世界各都市での抗議デイには高齢者から子どもまで参加した(ツイート)
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