「今日のメッセージ 2021/11/12」
明るいニュースが届いた。アフガニスタン第3の都市ヘラートで、女子校(12歳から17歳の中高生が対象)が再開したのだ。タリバン政府がまだ認めていない中でのヘラート市の決断ではないかと報じられている。それはたった1校だが、とても大きな意味を持っていると思う。タリバンの命に従わなかったことと、その圧力にかかわらず決断したことは全国の多くの教育関係者や女生徒たちに大きな勇気と励みを与えるに違いない。インタビューに応じる女子生徒の希望に満ちた表情、そして「国民の半分は女性なのですから」という言葉。この動きはまだわずかな光でしかないかもしれないが、きっと暗雲を払うきっかけになるはずだ。
★女子校再開。同国第3の都市ヘラートで。(Yahoo - AP通信)
タリバンは学校を閉鎖できるかもしれないが、「学び」を奪うことなどできない。今年6月末、パンシールの「山の学校」はコロナで休校となったが、図書館で本を借り、それを読みながら家に帰る4年生を撮った。この子はもっとたくさんの本を読みたいと願っているに違いない。
撮影:長倉洋海
アフガニスタン北部のパンシールやアンダローブ、カピサ、バグラン、バダフシャンなどで抵抗を続けるNRF(国民抵抗戦線)への連帯の動きが世界各地に広がり、世界25の都市で、「タリバンを承認しないで」という声が上がっている。
(11/14に行われる世界的な運動を伝えるツイッターより)
★NRFへの連帯表明の声 (ツイッターより)
一方のタリバンは国際承認を目指して各国と会談を重ねているが、その表面的なソフトムードとは裏腹に、国際テロリスト組織アルカイダの幹部をカブール知事に任命し、衣の下の本当の正体を見せてもいる。
★現役アルカイダメンバーの知事任命を伝える、アリ・ナザリー(NRF広報官)のツイッター
タリバンと強力な同盟関係にあるアラビア半島のアルカイダのリーダーも、タリバンへの礼賛と限りない連帯の声をあげている。
市民の殺害や女性への暴力も止んでいない。クレーン車で遺体を吊り見せしめにする蛮行も続いている。
しかし、女性たちも黙っていない。
タリバンへのこんな風刺画も登場した。
ツイッターには、「もう我慢できない」と銃をとったホスト州の女性たちの写真も上がっている。
国民の半分に食料が満足に行き渡らず、経済も医療も崩壊しているアフガニススタン。それでも、タリバンは国民を救うために各勢力が参加する「包括的な政権」を作るつもりは一切なさそうだ。それでいて国際承認は求める、というのは、彼らが国民の命を救うことより、権力こそを求めていることを表わしている。
しかし、いずれタリバンは兵士たちに給料も払えなくなり、支持者に配る物品も底をつくだろう。
彼らの足元が崩れる日は決して遠くはない、と私は思っている。
11月12日 長倉洋海
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