「今日のメッセージ 2021/11/1」
アフガニスタンの周辺国、ロシアや中国、イランなどでタリバン政権の実質承認の動きが加速している。国際承認というカードは手元にとっておき、援助をチラつかせながら、テロ組織を自分たちのところで活動させないという言質を取ろうとしているのだ。しかし、そんな綱渡りのようなことが可能なのだろうか。いままでも書いてきたようにタリバン内部で様々な海外とのテロ組織と関係が深いハッカーニネットワークが力を増している。彼らが周辺国と思惑通りにアフガニスタン国内に閉じこもってくれると信じているのだろうか。現に、在パキスタン大使館の一等書記官にアルカイダメンバーが任命されたというツイートも上がっている。
タリバンと各国との綱引きの実際はうかがい知れないが、タリバンの暴力と殺人はいまも収まる気配が全くない。各国の駆け引きの中で、そうした状況が改善されないことにアフガニスタンの人々は嘆き悲しみ、絶望の淵にあるのではないだろうか。今日は、祝いの音楽が許せないとタリバンが結婚式に乱入、銃撃で大勢の人が殺され、負傷した(ツイート参照)。
国内では経済も食料事情も危機的状況だ。W F P(世界食糧計画)の食料配布にたくさんの人が並んでいる。ツイートは「家族のために食料を得るためだから恥じ入る必要はない」と弁護している。
こんな投稿もあった。路上でバナナを売っている男性はカブール大学の教授、生活苦のためだという。
今日も女性の悲劇が伝えられている。こ家族の飢えからこの女性は父親に5万アフガニー(約600米ドル)で売られたという。
体罰を受ける女性の映像も上がっている。
女性たちの抗議の声も止まない。国際社会にタリバンを承認しないように訴えている(ツイート参照)。
コーランを引用して、女性の権利をタリバンに訴える女性たちもいる(ツイート参照)
勉学の場が奪われる中、隠れて授業を受けたり、オンラインで学習する女性たちの姿が伝えられている。(Thomson Reuters Foundationより)
世界はアフガニスタンの国内の人権状況など御構い無しに自国のことばかりを考えている。タリバンの行為を糾弾しないのは、それを認めているのと同じではないだろうか。また、そうしたニュースを目にしていながら、自らのメディアで報じないジャーナリストはどうなのだろうか。「世界は沈黙しないで」と訴えたパンシールの女性たち。「忘れないで」と叫ぶ声が忘れられない。
今日、そのパンシールから抵抗戦線のリーダー、アフマド・マスードの映像がツイッターに上がった。近々、新しいメッセージを発表するという言葉が添えられていた。
2021年11月1日 長倉洋海
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