アフガン情勢に関するメッセージ
2021年10月29日


「今日のメッセージ 2021/10/29」


 今日のメッセージで最初にお伝えしなければならないのは、サダーム君とシャハーブ君というカブールの学校の生徒2人が、パンシール出身者という理由で射殺されたということです。夢を奪うどころか、命を簡単に奪う輩を野放しにしているタリバンという集団に強い怒りを感じるばかりです。



殺された2人の少年について (Twitterより)

街中で、商店主を銃床で思い切り殴りつけるシーンも投稿されています (Twitterより)。

学校でも生徒に暴力を振るっています (Twitterより)。

★国民の二分の一が食糧不足に陥っているという報道です (ツイート)。


★食べることさえできず子供や赤ん坊を売りたいという人たちが増えています(BBCニュース)。

★タリバンは失業者を対象に労働に応じれば小麦を配ると発表しました。
「冬に食料不足に陥る可能性のある失業者が対象で、労働に対して金銭は支払われない」とのこと。(時事通信ニュース



「子どもたちは死にかけている」と英国のテレグラフが伝えています(↓)。


★北部のパンシールでは子供たちが抵抗戦線側の旗(旧北部同盟)を掲げて行進しました。
撃たれないだろうかと心配です(Twitterより


★パンシールの北隣のアンダローブでは1人の女性司令官が抵抗戦線に加わり、タリバンと戦うと宣言しました。(Twitterより


★威嚇射撃されても、進路を塞がれても、女性たちの権利を求めるデモは続いています。
Twitterより)

★一方、土地を追われ、山に逃れて生活しているハザラ住民の映像も上がっています。
Twitterより

 女性たち、子どもたち、そして、多くの国民が憤り、抗議の声をあげても、タリバンは動じません。いや、一切、気にかけず、握った権力を離そうとしていません。もともと、送電線破壊や路肩爆弾、そして、多くの人を巻き込む自爆テロをしてきたことが国民のことを考えていない証でした。本来のイスラムでは決して許されることのない行為に、西側世界ばかりか、多くのイスラム国家から非難の声が上がらないのがどうしても納得できません。タリバンの行なっていることは、イスラムの信用を地に落とす行為に他ならないからです。トルコのエルドアン首相は協力を表明し、石油で潤っているはずのアラブ産油国が食糧援助すらしないのはどうしてでしょう。そうした「暗黙の支持」がタリバンの大きな支えになっているのは間違いなく、タリバンは決して孤立しているなどとは思っていないでしょう。タリバンを生み出した過激なマドラサ(「神学校」と訳されるが、寝食を与え、一方的に過激な思想を教え込む場で寺小屋のような存在)は、万を超えると言われますが、その多くがサウジアラビアなどの王族からの資金で建てられてきました。

 こうした背景を知れば、どうしてタリバンが力を伸ばしたのか、またイスラムの道に反する暴虐非道さを堂々と続けていけるのか、その背景が見えてくると思います。日本政府はタリバンに対するだけでなく、背後のパキスタンや中東産油国も含めて、タリバンの姿勢を改めさせ彼らの蛮行を今すぐやめさせるよう、積極的に働きかけるべきではないでしょうか。

    2021年10月29日 長倉洋海

政府崩壊「要因はガニ氏」- 米アフガニスタン特別代表の主張」(10/29毎日新聞より)


[アフガン情勢に関するメッセージ一覧]へ
[長倉洋海トップページ]へ