「今日のメッセージ 2021/10/20」
一体、タリバンとは何者なのか。さまざまな暴力や虐殺を働いているから、よきイスラム教徒とも、善良な市民とも言えない。彼らの行動を見るにつけ、政治組織ではなく、単なる武装集団で、それも内部はバラバラなのではないかと思えてくる。
その極め付きは、クンドゥス、カンダハールでのシーア派モスクへの自爆テロ後の対応だ。「調査委を作り、犯人を逮捕し断固した処罰を与える」と言った一方で、自分達タリバンの自爆テロ実行犯の家族をホテルの大会場に招き、金品を与え、「自爆実行者はイスラムと祖国の英雄」と内務大臣セラジュディン・ハッカーニが礼賛した。そのハッカーニはFBIから指名手配され賞金までかかっている国際テロ犯なのだ。
事件後も、堂々と自分達の自爆テロ隊員の訓練を公開する。IS-Kとタリバンは同根で単なる縄張り争いをしている集団同士に過ぎず、大きな差異がないことが明らかになった。ツイートではアフガン女性が「誰か私にこれらの人々をどうしたら『同胞』と呼べるのか教えてください」と投稿していた。
★「自殺の英雄」を持つ人間達と、どう話すことができるというのか (Amaja Newsツイート)
★自爆犯は「イスラムの英雄」… (Yahoo - 時事通信)
タリバンが開設したテレビ局で流された自爆実行者への訓練(↓)
★タリバンの最高指導者も、実は自爆テロで亡くなっていたという報道も。(Twitterより)
★今も止まらない暴力行為(Twitterより)
★アフガニスタンの現状を憂うアフガンの王女の言葉 (Yahoo - 時事通信)
それでも人々は声を上げ続けている。ついに、タリバンに蹂躙されているパンシール渓谷でも女性たちが立ち上がった。「どうして世界はタリバンの戦争犯罪に黙っているの。私たちの声が聞こえていますか」と、危険を冒して切なる声を書き記したメッセージを掲げる姿に、いたたまれない気持ちになった。
★携帯電話も取り上げられた中でどうにかして集まって声を上げている。
前列の女性たちは英語でメッセージを書き、必死で世界へ伝えようとしている。
(NRF広報官のツイートより)
★「学校に通えない」と切実な声が (Yahoo - 時事通信)
どうして無法者集団タリバンにこの国が奪い取られたのか興味深い記事がアップされていた。少し前のものになるが紹介したい。ガニ大統領と治安担当者がタリバンに権力を渡すことを仕組んでいて、各州の軍や警察に「抵抗するな」と通達していたという内容だ。どこまで信憑性があるかわからないが、とても興味深い内容だ。ガニが逃亡したことでアフガニスタン崩壊の序曲が始まったのは真実だからだ。
一緒に、(前にも一度、お伝えしていますが)ヘラート出身の活動家・文学者であるソマイヤ・ラミシュさんの糾弾の言葉も今一度お伝えしたい。
★タリバンへの無血明け渡しの陰謀 (WAJ: Web Afghanistan in Japan)
★ ソマイヤ・ラミッシュさんの糾弾の詩
痛い、痛い、そしてまた痛い。
痛みと傷で私の魂は食い尽くされる!
カーブル、ヘラート、バダクシャーン…
国はバラバラにされ、どこで息をするかはどうでもよく
私たちはみな打ちのめされる!
これほどまでの無力と空虚を感じる日々はなかった。
絶対になかった、絶対に…
書いては消し、書いては消し、何回も。
書くべき言葉が出てこない。
ペンとハートのために何千回も泣いた…
祖国と同胞のイメージが壊れる。
私は壊れ、食われ、崩れ落ちる。
崩れ落ちるたび、何度も何度も、私のハートは許しも忘却もできない、決して忘れることなどできない、アシュラフ・ガニー・アーマドザイ、おまえを。この事態を引き起こした真犯人のお前を。お前こそが罪のない祖国の市民を何千人も虐殺し祖国の命と首都を略奪した真犯人だ。
忘れるものか、必ず、ぜったいに、消えることのない歴史のページに書き留めてやる。
日を追うごとに私の確信はますます堅固になる。私たちと私たちの故郷にもたらされた災厄は決して私たちのせいではない。
この沈黙は私たちのものではない。
私たちの胸に秘められた炎はいつか燃え上がり、この抑圧を破壊し尽くすだろう。
国民をおそれよ!
ほこりや灰や流された血の中から、正義と自由とそして祖国を呼び戻し、復活させる国民を!
タリバンを承認するな!
インターポールはガニーを逮捕せよ!
ソマイア・ラミシュ(Somaia Ramish)(WAJ: 仮訳)
※ソマイア・ラミシュさんはヘラート出身、元ヘラート州議員。詩人・文学者・アーティスト。カブールが陥落した日、ヘラートから国外へ身を移し活動を継続している。
ひとつの情報に対し、多面的なところから更に情報を得ることは、どんな場合でも大切なことだと思う。たくさんの光が当たって、物事が多面的に、そして陰の部分も見えてくるのではないか。
一面的にならない様に気をつけながら、アフガニスタンの人々の声を拾い上げていきたいと思います。
2021年10月20日 長倉洋海
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