アフガン情勢に関するメッセージ
2021年10月04日


「今日のメッセージ 2021/10/4」

 「学校に戻りたい」という女子学生の声。再開を訴えるデモで女子、女性たちは排除されますが、どんなに威嚇され妨害されても、人々の抗議は続いています。そして一方で、N R F(国民抵抗戦線)が少しずつですが勢力を広げています。彼らがなんとか持ちこたえていることで、国際社会からも「サポートすべき」という声が出てきています。N R F広報官のアリ・ナザリーと面談したフランス前国防相は支援に前向きな姿勢を示し、米国議会でも対タリバン勢力を支援すべきだという声が強まっています。
 まだ、それらの具体的な支援は始まっていませんが、抵抗戦線はパンシール渓谷の中心部や大きな町を除いた60%を取り戻しました。パンシールの入口に位置するチャリカールでは激戦が続き、タリバン側は多数の捕虜と死傷者を出しています。
 また、今まではタリバン政権をすぐに認めると思われていたロシアが慎重な姿勢に転じ、ロシア外相は「承認はテーブルに上がっていない」と述べています。タリバン内で各地でのテロを行ってきたハッカーニグループが主導権を握ったことで、自国内の過激派への支援が進むのではないかとの警戒心からだと思います。

 最近のツイッターでよく目にするのが、抵抗戦線の軍事参謀であるサーレ・レギスターニの様子です。最初に会ったのは1983年、まだ20歳の若い戦士で、私が「ブッダに似ている」と言っても怒ることはありませんでした。以降、その時の話を周りの人にするのを見て、イスラム教徒の懐の広さを感じたものです。それから40年近く、かつてはマスードの側近だったのに財を手に国外に逃れた者が多い中で、国会議員を2期務めたサーレが若きアフマドを補佐して戦っているのです。彼の中にマスードの不屈の精神は生きている、と実感します。

 しかし、彼らの戦いの行方は杳としています。そして、戦いの中で多くの命が失われます。タリバン支配下で子どもの餓死が増えているというニュースに触れるたび、そのことに何の施策も取ろうしないタリバンに怒りが湧いてきます。彼らのもとで、人は自由におおらかに生きていけるのだろうかとも思います。
「次の世代に、私たちが奴隷となって故郷や国を売り渡したと言われないように、尊厳と誇りのために戦っています」という老兵士の言葉がありました。彼らの戦いの是非はアフガン国民が決め、歴史が明らかにしてくれるに違いないと、私は思っています。

     2021年10月4日  長倉洋海


◆「学校に戻りたい」 (ロイター通信)

女性デモに対する蛮行 (Twitter)

◆女性の運転が禁止された↓


ロシアも認知、様子見. (Reuters)

米軍、敗因の一つにパキスタンのタリバン支援をあげる (AFPニュース)

◆「なぜ、米国はN R Fを助けなければならないか」を論じる記事
  (Twitter ⇒ The Heritage Foundation レポート)


パラワン州のチャリカールを望む抵抗戦線の兵士

山中の抵抗戦線の兵士たち

薪集めをするサーレ。これからは冬の備えも必要となる (Twitter)

抵抗戦線では老兵も頑張っている (Twitter)


25歳の頃のサーレ

子どもの餓死が増えている (時事通信)


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