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現在、タリバンとパンシールの国民抵抗戦線(N R F)はカブールとパンシールの中間、チャリカールの街で和平交渉をしています。しかし、タリバンは「平和的にパンシールを明け渡せば危害を加えない」と主張し、「自由と地方自治を認めるように」というNRFとは隔たりが大きく交渉はあまり進んでいないようです。「交渉中は、停戦する」と同意したにもかかわらず、タリバンの戦闘部隊がパンシールの峡谷部分へ入ろうとして戦闘となり、押し戻されたものの、ゴルバハールに検問所を設け、カブール方面からパンシールに向かう人を通さないようにしています。また、パンシールの上流部パリヤンからアンダローブに向かうハワーク峠からも侵入しようとして、こちらも戦闘があり、タリバンは撤退したと伝えられています。
戦闘ばかりでなく、通信を遮断することも行っています。タリバン側は通信会社ロシャンを初めとする主だった通信をカットして使えなくしました。軍事、通信でパンシールを孤立化させためです。
タリバン側がパンシールに対し、どんな態度をとるか。平和を求める声を聞くのか、武力で鎮圧しようとするのか。それでアフガニスタンの未来に臨む姿が見えるはずです。抵抗戦線のリーダーであるアフマド・マスードは「交渉はするが決して降伏はしない」と話しています。
現在、北部を中心として6つの州でタリバンへの抵抗が始まっていますが、タリバンは女性や子どもたちを縦に取り、また虐殺していることが地域から上がってくるTwitterなどで報じられています。大手メディアがどうしてこれらを大きく報じようとしないのか、それも私には不可解です。
いまのところ、学校の地域と子どもたちは無事のようですが、授業は行える状態になっていないようです。あらたな情報が入ればお伝えしますが、ただ遠くから見守るしかないことにもどかしさ、歯痒さを感じます。かつてタリバンに包囲されていたマスードのところにタジキスタンからヘリコプターで飛んだように、パンシールに入って子どもたちの安全を確かめ、人々を励ましたい気持ちです。
2021年9月1日 長倉洋海
<参考情報>
(1) 「これでもタリバンを信じられるか」 (Newsweek)
(2) アフガンから亡命した報道写真家、タリバンのメディア封殺を警告 (AFP通信)
(3) 本性現したタリバン、初の警察高官の女性を石で残忍に殴打 (Yahoo-中央日報)
(4) アフガン駐日大使「20年で得たものすべてを失」と支援訴え(NHK Web)
(5) イラン人女性ジャーナリストのTwitterより
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